結婚の支援金60万円を受け取るために、夫婦そろって指定の講座を受けなければならない市があります。
甲府市の支援制度とは、移住・住宅・結婚といった大きな一時金と、産後ケアや医療費といった日常の負担軽減が二層になった構成です。ただし一時金の側には、居住年数・所得・期限・講座受講といった条件がいくつも重なります。収録している甲府市の14制度から、金額と条件を整理します。
結婚新生活支援の60万円は29歳以下限定、しかも講座受講が必須
上限は1組30万円で、夫婦ともに29歳以下の場合だけ60万円になります。婚姻届の受理は令和8年1月1日から令和9年2月26日まで、婚姻時に夫婦ともに39歳以下、合算所得500万円未満が要件です。見落としやすいのが受講条件で、夫婦双方がライフデザイン、プレコンセプションケア、共家事共育てなどの指定講座を受ける必要があります。加えて5年以上継続して居住する意思と、市税に滞納がないことも求められます。
移住支援金は子ども1人100万円加算、予算上限で打ち切りあり
単身60万円、世帯100万円に、18歳未満の世帯員1人あたり100万円が加算されます。転入前10年間で東京23区の在住・通勤が通算5年以上、かつ転入直前に連続1年以上という条件つきです。就業も自由ではなく、山梨県のマッチングサイト掲載求人への週20時間以上の無期雇用など指定の要件を満たす必要があります。申請は転入後1年以内、5年以上住み続ける意思が前提。そして予算上限に達すると期限前に受付が終わるため、早く動いたほうが有利です。
住宅は最大120万円、ただし県内本店の業者施工が条件
やまなしKAITEKI住宅普及促進事業費補助金は1件最大120万円ですが、認定内容によって額が変わります。対象はやまなしKAITEKI住宅認定制度の認定住宅に限られ、山梨県内に本店のある建築業者による施工が必須です。申請は認定通知日または購入日から3か月以内、かつ令和9年2月26日まで。市税の滞納がないことも要件です。
子育て世帯の住宅取得は、新築より中古のほうが手厚い
子育て世帯住宅取得支援事業は、新築住宅が最大30〜60万円なのに対し、既存住宅の取得・リフォームは最大60〜90万円と上回ります。額は夫婦の年齢等で変動します。新婚世帯として申請する場合は、令和8年1月1日から令和9年3月31日までの婚姻届受理、夫婦ともに39歳以下、合算所得500万円未満が必要です。対象経費は令和8年4月1日以降に取得・工事し、令和9年3月31日までに支払ったものに限られます。
産後ケアは訪問型1回400円、ただし市税滞納があると使えない
宿泊型は1泊3,600円で3泊まで、日帰り型は1日500円で3日まで、訪問型は1回400円で5回まで(多胎児は10回まで)です。期間の区切りがはっきりしていて、宿泊型・日帰り型は産後4か月未満(産後150日目まで)、訪問型は産後1年未満。市税の滞納がないことが要件になっている点は、他の産後ケアではあまり見ない条件です。市民税非課税世帯は半額、生活保護世帯は無料。日帰り型の一部施設は月・火・水・金曜のみの対応です。
医療費は18歳年度末まで無料、県外受診は2年以内の申請
すこやか子育て医療費助成は、保険診療の自己負担分と入院時の食事療養標準負担額が全額助成されます。対象は0歳から18歳到達後最初の3月31日まで。予防接種や健診など保険適用外は対象外です。県外の医療機関などで自己負担した場合は償還払いになり、申請期限は診療日から2年以内です。
助産手当1万円は非課税世帯だけ
出産1回につき、市民税非課税世帯は1万円、均等割のみ課税の世帯は5,000円です。出産した人が1年以上甲府市に居住していることが必要で、所得課税されている世帯は対象外。生活保護受給者と公立の助産施設で出産した人も対象外です。妊娠4か月以上の流産・死産も対象になります。
不妊治療は1回上限16万円、居住1年が要件
保険診療の不妊治療と男性不妊治療がそれぞれ1回上限16万円、先進医療費が上限15万円です。夫婦の両方が1年以上継続して市内に住所を有していることが必要で、片方だけでは通りません。自己負担額から高額療養費や他自治体の助成を差し引いた額と上限額を比べ、低い方が助成されます。申請は治療終了日から1年以内。不育症検査は先進医療として認定された検査に限り、費用の70%・上限6万円です。
細かく効く無料・低額サービス
母乳相談は1回の妊娠・出産につき2回まで無料で、3回目以降は対象外。乳房マッサージではなくセルフケアの指導で、事前の電話予約が要ります。ファミリー・サポート・センターは平日7時〜19時が1時間700円、早朝・夜間・土日祝が800円で、交通費と食事代は別途。依頼会員の登録が前提で、当日の急な依頼には応じられない場合があります。未熟児養育医療は出生時体重2,000g以下などが対象で、申請は退院前が原則です。子育て短期支援事業と就学援助は金額が公表されておらず、市への確認が必要です。
甲府市をどう見るか
出産時の現金給付は助産手当のみで、しかも非課税世帯限定と薄いのが弱点です。一方で移住・住宅・結婚の一時金は数十万円から100万円超まで届き、家を持つ段階にいる人には効きます。産後ケアの価格設定も安い部類です。ただし居住1年・5年継続・市税滞納なし・講座受講と、条件の積み重ねが多く、申請前に一つずつ潰す作業が要る自治体だと考えたほうがよいでしょう。