18歳未満の子どもを連れて移住すると、世帯分の100万円とは別に、子ども1人につき100万円が上乗せされる町があります。
邑南町の支援制度とは、移住支援金という大きな入口と、妊娠・出産期の検査費用助成、そして教育費の下支えを積み重ねた構成です。金額が大きい制度ほど返還義務や申請期限が厳しく、知らずに動くと取りこぼします。収録している邑南町の17制度から、金額と条件を整理します。
移住支援金は世帯100万円、18歳未満の子ども1人につき100万円加算
わくわく邑南生活実現支援事業は、世帯100万円・単身60万円。これに18歳未満の帯同者1人につき100万円が加算されます。いずれも1回限りです。
対象は、直近10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住または23区へ通勤していた方で、転入の直前に1年以上続けて在住していたこと。就業で申請する場合は、登録企業との週20時間以上の無期雇用契約が条件です。起業の場合は島根県の起業支援金の交付決定を受けたうえで、転入と交付決定からそれぞれ1年以内に申請します。
落とし穴は返還義務です。申請は転入から1年以内、かつ5年以上継続して居住する意思が前提で、5年以内に転出した場合や、受給後1年以内に離職した場合は全部または一部を返す必要があります。100万円単位の金額は、実質的に5年間の居住とセットだと考えてください。
子どもの医療費は18歳年度末まで自己負担0円
0歳から高校3年生相当(18歳到達年度末)まで、保険適用分の自己負担が全額助成されます。ぜんそくなど16特定疾患は20歳未満まで入院のみ対象です。
無料になるのは健康保険が適用される診療だけで、健診・予防接種・差額ベッド代は対象外。受給資格の登録をしていないと窓口無料にならず、いったん払ってから払い戻し申請になります。転入したらまずここを済ませておくべき手続きです。
不妊・不育・生殖補助医療は3本立て、期限はいずれも1年
一般不妊治療は1年(1期)あたり上限15万円で、初診から3年間(3期)まで。各期の終了後1年以内に申請しないと受けられません。生殖補助医療は1回の治療あたり上限30万円で、治療終了月の末日から1年以内。不育症治療は1治療期間あたり上限10万円で、治療終了日の属する月の末日から1年以内です。
いずれも対象は保険適用分の自己負担額で、高額療養費や加入保険の付加給付で戻る分は差し引かれます。夫婦のいずれかが町内に住所があればよく、事実婚も含まれます。
妊娠・出産の検査は「委託医療機関かどうか」で負担が変わる
妊婦一般健康診査は16回分が公費負担、産婦健康診査は1回上限5,000円で産後2週間頃と1か月頃の計2回、新生児聴覚スクリーニングは規定額の全額、妊婦歯科検診は上限5,000円です。
共通の条件は、委託医療機関で受診票を提示した場合だけ窓口負担が出ないという点。委託外で受けると全額立て替えて後日申請になり、新生児聴覚スクリーニングは受診後30日以内という短い期限がつきます。里帰り出産を考えている方は、この期限を先に確認してください。フッ素塗布は2歳から3歳半の幼児に受診券が出ますが、委託機関外での接種は助成対象外です。
インフルエンザ予防接種は10月から3月まで
生後6か月から12歳は注射ワクチン2回分、13歳から18歳と妊婦は1回分が全額助成されます。13歳から18歳が経鼻生ワクチンを選ぶと1回約3,300円から4,500円の助成にとどまり、差額は自己負担です(低所得世帯は全額助成)。接種期間は10月から翌年3月までで、期間外は対象外になります。
奨学金は貸与、返済免除は卒業後1年以内の申請が条件
高校は月額15,000円(公立)から20,000円(私立)、大学は月額35,000円(公立)から40,000円(私立)の無利子貸与です。給付ではありません。返済期間は貸与年数の2倍で、町内在住・20歳以上で別世帯の連帯保証人が必要です。
返済免除は、卒業後1年以内に町内へ定住して申請した場合に限られます。自動では免除されないので、ここを忘れると全額返済です。
就学援助・通学助成・ひとり親向けの給付
就学援助は年額で学用品費が小学校11,630円・中学校22,730円、通学用品費2,270円、新入学学用品費が小学校64,300円・中学校81,000円、給食費と修学旅行費は実費です。認定基準によって支給される費目が変わります。
通学助成は民間バス定期券が全額ですが、おおなんバスの利用可能区間と学区外通学は対象外。徒歩・自転車通学は小学生4km以上、中学生6km以上が対象です。
母子家庭等入学就職支度金は入学・就職の各区分ごとに2万円で、所得制限を超えると対象外、就職支度金は1回限り。遺児育成特別手当は月額2,000円(9月と3月の2期払い)ですが、養育者が所得税を課されていると対象外で、義務教育終了までです。
邑南町をどう見るか
強いのは移住支援金と18歳までの医療費無料、そして妊娠期の検査助成です。ここは金額も範囲も明確で、転入前後の家計に効きます。
弱いのは教育費の後半です。奨学金は貸与のみで免除には定住と申請が要り、ひとり親向けは2万円・月2,000円と額が小さく、所得制限や所得税課税の有無で外れます。制度全体を通して、申請期限(1年、30日)、委託医療機関かどうか、事前の資格登録という3つが結果を左右します。金額の大きさより、期限を管理できるかどうかで受け取れる額が変わる町です。