未就学児のいる家庭に、施設の利用が無料になるクーポンが73枚まとめて配られる市があります。
金沢市の子育て支援とは、現金をまとめて配るのではなく、医療費・サービス利用料・クーポンという形で日々の負担を薄く広く削る設計です。そのぶん所得制限や回数制限が細かく、どれが自分に使えるかを事前に見極める必要があります。収録している金沢市の14制度から、金額と条件を整理します。
おでかけクーポン73枚、ただし無料になるのは入場料だけ
かなざわ子育てすまいるクーポンは、未就学児1人につきおでかけクーポン73枚、サービスが割引になるおためしクーポン35枚、絵本交換クーポンと木のおもちゃクーポンが各1枚です。注意したいのは適用範囲で、無料になるのは対象施設の入場料のみ。金沢21世紀美術館はコレクション展に限られるなど、施設ごとに範囲が決まっています。おためしクーポンも全額無料ではなく割引で、産後ヘルパーは1回1,000円が500円になる形です。有効期限は小学校入学前の年度末まで(公衆浴場利用券のみ小学3年生まで)。木のおもちゃクーポンは令和8年4月以降生まれの子が対象です。
医療費は入院無料、通院は1日500円かかる
子育て支援医療費助成は、入院が0歳から18歳到達年度末まで無料、調剤も無料ですが、通院は1医療機関あたり1日500円の自己負担が残ります。通院の対象年齢は15歳到達年度末までで、令和9年1月から18歳到達年度末へ拡大予定です。通院は月の自己負担合計から1,000円を差し引いた額が助成されます。石川県内なら受給者証の提示で窓口精算できますが、県外受診や提示を忘れた場合は償還払いの申請が必要です。
産後ケアは訪問型1日740円、通算7日まで
産後ケアの自己負担は、訪問型が1日740円、日帰り型が医療機関1日3,000円・助産院1日4,190円、宿泊型が1泊2日15,000円(連泊は1日7,500円加算)です。日帰り・宿泊・訪問を通算して最大7日まで。施設へ直接申し込むことはできず、福祉健康センターを通じた利用登録と予約が要ります。市民税非課税世帯と生活保護世帯は減免の対象です。
産前・産後ヘルプは1回1,000円、無料になるのは非課税世帯だけ
ヘルパー派遣は1回1,000円で、すまいるクーポンを使えば500円、所得税非課税世帯は250円、市民税非課税世帯と生活保護世帯は無料です。回数は産前が母子健康手帳交付以降20回、産後は6か月以内に20回まで。派遣は9時〜17時で1日2時間までです。
多胎児には紙おむつが毎月無償、ただし対面受け取りが原則
双子・三つ子等の家庭には、多胎児1人につき毎月1回、希望する紙おむつが無償で自宅に配達されます。対象は生後3か月から3歳の誕生月まで。落とし穴は受け取り方法で、配達員との対面受け取りが原則必須、受け取れなければ給付されません。配達先は自宅のみで里帰り先は不可、転入者は転入後3か月以降が対象です。多胎妊産婦には助産師の家庭訪問が無料でありますが、1人1回まで、助産師の指定はできません。
不妊治療は先進医療に上限15万円
先進不妊治療は1回あたり治療費の7割で上限15万円。保険適用の体外受精・顕微授精と併せて実施された先進医療が対象です。その他の不妊治療は自己負担の2分の1で年間5万円まで、期間は連続2年間まで。不妊検査は自己負担の2分の1で上限2万円、夫婦で初回限りです。事実婚も令和5年4月1日以降の検査から対象になっています。
任意予防接種は1回2,000円まで、年2回
おたふくかぜとインフルエンザの任意接種に、1回あたり上限2,000円が年度内2回まで助成されます。対象は7歳の誕生日前日までの子どもで、この2種類以外の任意接種は対象外。上限を超えた分は自己負担です。生活保護世帯の子どもは対象ワクチンが全額助成されます。
所得で線が引かれる制度がある
初回産科受診料助成は上限1万円ですが、世帯全員の住民税均等割が非課税であることが必須で、課税世帯は使えません。妊娠確定後に保健師面談を受けられることも条件です。多子世帯放課後児童クラブ利用料支援は第2子以降に月額最大1万円(年最大12万円)の軽減ですが、世帯の市民税所得割合計額が57,700円未満であることが条件で、市が運営を委託するクラブに限られます。妊娠高血圧症候群等療養援護費は前年の所得税額15,000円以下が要件で、支給額は公表されていないため市への確認が必要です。妊婦のための禁煙外来治療費助成も上限額が公表されておらず、こちらも市へ確認してください。なおこの禁煙助成は、1歳6か月児健診の時点で禁煙を継続していることが支給の前提です。
就学援助と空き家解体
就学援助は新入学学用品費が小学校64,300円・中学校81,000円、学用品費が小学生年額13,230〜15,500円、中学生年額25,040〜27,310円(令和8年度)。前年所得が市の基準額以下であることなどが条件で、入学前支給を受けた人は入学後支給の対象外です。危険空き家の解体は工事費の2分の1で上限50万円(防災協定区域等は70万円)ですが、市が危険と判定した空き家に限られ、工事契約前の申請が必須です。
金沢市をどう見るか
弱いのは一時金です。出産や入学でまとまった現金が出る制度は見当たらず、就学援助も所得要件つきです。効くのは日常の積み重ねで、医療費の入院無料とクーポン、産後ケア・ヘルパーの安さは実際に使うほど効きます。ただし所得制限で線が引かれる制度が複数あり、共働きの中間層は初回産科受診料や児童クラブ支援から外れやすい点は覚悟しておくべきでしょう。