台風の被災で更地になった土地に家を建てると、それだけで100万円が出る市があります。
長野市の支援制度とは、移住してくる人に厚く、すでに住んでいる人には薄い構成です。移住・空き家・家賃・起業と入口ごとに補助が用意されている一方、出産祝い金のような一律の現金給付は見当たりません。収録している長野市の14制度から、金額と条件を整理します。
被災地区の空き地に建てると100万円
被災地区移住補助金は1件100万円です。対象は令和元年東日本台風で公費解体・自費解体された長沼・豊野地区の空き地に限られ、そこに住宅を建築または購入する場合に出ます。契約締結は令和8年4月1日以降、被災地区外に1年以上連続して居住していたこと、5年以上継続して居住する意思があることが要件です。予算の範囲内での交付なので、枠が埋まれば終わります。
空き家改修は最大100万円、子ども加算で160万円まで
移住者空き家改修等補助金は、対象経費の3分の2以内(特定都市圏からの40歳未満は4分の3以内)で、限度額は市街化区域50万円、その他の区域100万円です。さらに15歳以下の子1人につき20万円、最大60万円が加算されます。最大の落とし穴は物件の条件で、長野市空き家バンク登録物件に限られ、一般の中古住宅は対象外です。空き家所有者の3親等以内の親族も対象外。市税の滞納がないこと、売買契約締結日から4年以内の工事着手が必要で、令和8年度予算に達し次第受付終了です。
移住支援金は子ども1人100万円加算、申請は転入3か月後から
単身60万円、2人以上の世帯100万円に、18歳未満の世帯員1人あたり100万円が加算されます。対象地域は東京23区だけでなく、東京圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)、愛知県、大阪府からの移住も含まれます。転入前10年間で対象地域に通算5年以上、転入直前に連続1年以上が条件です。注意したいのは申請期間で、転入後3か月以上1年以内。転入直後には出せません。過去10年以内に同種の支援金を受けていないことも要件です。
家賃補助は月2万円が2年、ただし転入3か月以内の申請
若者・子育て世帯移住促進家賃支援は、家賃の2分の1以内・月額上限2万円を連続24か月です。対象は県外から転入した40歳未満の2人以上世帯、または中学校卒業前の子がいる世帯。ここも期限が厳しく、転入日から3か月以内に認定申請しなければ対象外になります。共益費・管理費・駐車場使用料は補助対象に含まれません。おおむね5年以上の定住意思も必要です。
起業支援金は初期投資の全額、上限100万円
移住者起業支援金は初期投資費用の10分の10以内、上限100万円です。補助率が10割という点では珍しい制度ですが、対象事業が絞られていて、地域活性化・地域の魅力創出発信・地域課題解決に資する事業に限られます。通常の飲食業やフランチャイズ事業は対象外です。県外から移住する50歳未満、転入前に3年以上県外に居住、おおむね3年以上の定住意思、そして事業計画がサポート機関の指導を受けたものであることが求められます。
医療費は18歳年度末まで、ただし1レセプト500円は自己負担
福祉医療費給付金は、保険診療の自己負担額から1レセプトあたり500円の受給者負担金を差し引いた額が給付されます。完全無料ではなく、受診のたびに500円がかかる形です。対象は0歳から18歳到達後最初の3月31日まで。健診・予防接種・差額ベッド代などの保険適用外は対象外です。
不妊治療は自己負担の3分の1、上限15万円
保険診療で体外受精・顕微授精または男性不妊手術を受けた場合、自己負担額の3分の1・上限15万円が助成されます。高額療養費や保険の付加給付を差し引いた後の額が対象です。回数制限があり、初回治療開始時の妻が43歳未満であること、40歳未満は6回、40〜42歳は3回まで。市税の滞納がないことも要件です。不育症検査は先進医療として実施された検査に限り、費用の7割・上限6万円で、検査結果を国へ提供することへの同意が必要です。
預かり・健診は実費中心
ファミリー・サポート・センターは平日7時〜19時が1時間600円、平日夜間と土日祝が700円、病児・病後児の預かりが1時間1,000円です。入会金は無料ですが説明会の受講とマッチングが必要で、当日すぐには使えません。病児・病後児保育は施設ごとの設定で、長野松代総合病院・篠ノ井総合病院が1日2,000円。連続利用はほとんどの施設で1回につき最大7日間までです。妊婦歯科健康診査は1回の妊娠につき1回無料ですが、無料なのは健診のみで、その後の治療費は保険の自己負担になります。出産までに受診しないと使えません。
低所得世帯向けの制度
初回産科受診料助成は上限1万円ですが、市民税非課税世帯に限られ、対象は妊娠届出日より前に自費で受けた妊娠判定検査の費用です。小学校入学予定者向けの就学援助は新入学学用品費64,300円と第1学年学用品費11,630円の合計75,930円で、令和9年3月1日時点で市内居住が必要、私立小学校は対象外です。入所助産は所得に応じて費用を徴収するため金額が確定しておらず、市への確認が必要です。
長野市をどう見るか
弱いのは出産・子育ての一時金で、誰でも受け取れる現金給付は見当たらず、医療費も1レセプト500円が残ります。就学援助や初回産科受診は所得要件つきです。効くのは移住の入口で、空き家改修・家賃・起業・被災地区と選択肢が多く、子ども加算も厚い。ただしどれも期限と予算枠が絡むため、動く順番を間違えると受け取れません。転入後3か月という区切りが複数の制度に出てくる点は、特に注意すべきでしょう。