返さなくていい奨学金を、年100万円、4年間。総額400万円を出す市があります。ただし採用枠は10名です。
佐久市の支援制度とは、教育と空き家の再生に数百万円単位を投じる一方、移住関連は金額そのものが公開されていないという、振れ幅の大きい構成です。収録している佐久市の17制度から、金額と条件を整理します。
給付型奨学金は年100万円を4年間、ただし採用は10名
SAKUコスモス育英基金奨学金は、1人あたり年額100万円を年2回に分けて4年間給付します。対象は令和9年4月に大学へ進学予定の高校生等。要件は、申請前6か月以上の市内居住、学業成績が5段階評価で原則3.5以上、市町村民税の所得割が非課税の世帯(多子世帯などの例外あり)、市税等の滞納がないこと、市の貸与型奨学金を受けていないことです。採用予定は10名なので、要件を満たしても給付されるとは限りません。
貸与型は市内で働けば最大半額が追加免除
佐久市奨学金は貸与型で、返還が必要です。月額は公立高校1万円、公立の短大・大学3万円、私立高校1万5千円、私立の短大・大学4万円まで。日本学生支援機構など他団体から貸与を受けている人、授業料が全額免除されている人、世帯に市税の滞納がある人は対象外です。卒業後に修学期間の2倍を市内で就業すると返還免除の対象となり、令和6年度以降は要件を満たすと最大で借入額の2分の1が追加免除されます。
空き家の改修は最大240万円、ただし10年使い続ける約束付き
地域の活性化を図るための空き家改修補助金は、工事費の3分の2以内で240万円が上限。宿泊施設・集会施設・文化施設などとして10年以上継続して利用することが条件です。除却・跡地整備も費用の5分の4以内で240万円が上限ですが、跡地を30年以上公共的な広場等として使う必要があり、所得制限もあります。どちらも維持管理期間中は毎年、管理状況を市へ報告しなければなりません。長い縛りと引き換えの金額です。
危険空き家の除却は50万円、無接道の解体は5万円まで
老朽危険空家等除却補助金は、対象経費の2分の1(または延べ床面積×15,000円の2分の1の低い方)で上限50万円。跡地利活用は工事費の20%で上限50万円です。市内にあり1年以上使われていない戸建て等で、市の事前判定で危険と認められることが前提で、市税の滞納がないことも要件になります。
道路に接していない、または接道が2メートル未満の敷地に建つ空き家を取得した隣接地所有者向けの補助は、解体費の4分の1で上限5万円。家財や車両の処分費は対象外です。
木造住宅の耐震改修は最大195万円、実績報告は令和9年1月30日まで
昭和56年5月31日以前に建築された在来工法の木造一戸建てが対象で、耐震補強工事115万円、伴うリフォーム30万円、県の上乗せ50万円を合わせて最大195万円。解体の場合は最大97万8千円です。耐震診断の評点が1.0未満であることが必要で、申請前に無料の耐震診断を受けることが必須。平成17年6月以降に増築した住宅は対象外です。工事完了と実績報告書の提出期限は令和9年1月30日で、逆算しない限り間に合いません。
移住系の3制度は、金額が市のページに載っていない
UIJターン就業・創業移住支援事業補助金、移住検討者滞在費補助金、リモートワーカー等新幹線通勤補助金の3つは、いずれも補助額や対象要件がリンク先の要綱側にあり、市のページ上では確認できません。移住交流推進課への確認が前提になります。滞在費補助については、娯楽目的の滞在、ゴールデンウィーク(4月29日〜5月6日)と年末年始(12月29日〜1月3日)、すでに移住を決めていると判断される活動は対象外という除外だけが明示されています。
子ども医療費は無料ではなく、レセプト1件につき月500円
福祉医療費給付金は出生日または転入日から18歳到達後最初の3月31日までが対象で、18歳未満に所得制限はありません。ただしレセプト1件につき月500円の受給者負担金がかかり、完全無料ではありません。県外受診や受給者証を提示しなかった場合は、診療から1年以内に自分で申請する必要があります。
不妊・不育の助成は年30万円、1年以上の居住が前提
コウノトリ支援事業は、保険適用外の人工授精、体外受精、顕微授精、不育症治療、男性不妊治療について、1年度あたり治療費の2分の1で上限30万円。夫婦のいずれかが申請前1年以上市内に住所を有していることが条件で、転入前に終了した治療や他自治体から助成を受けた治療は対象外です。市税・国民健康保険料の滞納がないことも求められます。
産後ケアの訪問型は1回500円、預ける仕組みは定員が薄い
課税世帯の産後ケア利用料は施設ごとに設定され、訪問型は1回500円。非課税世帯と生活保護世帯は無料です。ショートステイ型は生後3〜4か月未満、デイサービス型とアウトリーチ型は1歳6か月以内で、宿泊・通所は合わせて7日以内、訪問は2回以内です。
こども誰でも通園制度は1時間300円(公立施設)で月10時間までですが、実施施設は望月保育所と中込認定こども園の2か所のみ。病児・病後児保育は3歳以上1回450円、3歳未満1回1,000円ですが、各施設の定員は1日4名で医師の診療情報提供書(有料)が要ります。一時保育は3歳未満1日2,000円、月12日程度が上限。ファミリー・サポート・センターは1時間1,000円〜1,500円で、土日祝は割高、前日17時以降のキャンセルは50%負担です。
佐久市をどう見るか
弱いのは移住まわりです。金額が市のページに出ておらず、比較の土俵に乗りません。日常の預かりも、誰でも通園2か所、病児保育1日4名と、枠の薄さが目立ちます。効くのは教育と住宅です。非課税世帯で成績要件を満たす高校生にとって年100万円の給付型は決定的ですし、空き家を事業として使う人には240万円が現実的な選択肢になります。ただし空き家は10年・30年の縛り、耐震は令和9年1月30日の期限と、いずれも長さか締切かで人を選ぶ制度です。