松本市では、保育士が県外から移り住んで市内で働くと、月5万円が12か月、合計60万円支給されます。
松本市の子育て支援とは、現金より「使える券」を配ることに重心を置いた制度群です。医療費は18歳年度末まで窓口0円、産後は家事支援や相談の券が重ねて配られる一方、対象期間と登録手続きの縛りが強く出ます。収録している松本市の13制度から、金額と条件を整理します。
保育士の移住は月5万円、合計60万円
長野県外から転入し、市内の認可保育所・地域型保育事業所・認定こども園で働く保育士が対象で、月額上限5万円の12か月分、合計上限60万円です。条件は細かく、令和7年4月1日以降に勤務を開始し、6か月以内に住民票を移すこと、直接雇用で週20時間以上働くこと、3年以上継続して保育の仕事に従事する意思が求められます。他の住宅手当等の補助を受けていると対象外です。
子ども医療費は18歳年度末まで窓口0円
福祉医療費給付金制度(子育て支援医療)で、0歳から満18歳に達する年度末まで保険診療の自己負担額が窓口0円になります。所得制限はありません。対象は保険診療分だけで、健診、予防接種、差額ベッド代などは含まれません。18歳以上の障害者支援医療とひとり親家庭支援医療は自動給付方式で、1レセプト500円が差し引かれます。
子育て支援クーポンは病児保育の半日券20枚を含む
令和7年4月以降生まれで保育施設等に在籍していない子どもがいる世帯には、訪問型ファミサポ1時間券20枚、一時預かり半日券10枚、休日保育半日券10枚、病児病後児保育半日券20枚、産後家事支援1時間券15枚、ショートステイ宿泊券3枚が交付されます。多子世帯(18歳未満の子が2人以上で就学前の子がいる)は年10枚の1時間券。落とし穴は線引きで、保育施設等に在籍していれば使えません。きょうだいへの流用や換金も不可、利用期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日です。
産後ケアは費用の2割、訪問型は1回2,500円
宿泊型と日帰り型は各7日まで費用の2割を自己負担、訪問型は7回まで1回2,500円。市民税非課税世帯と生活保護世帯は、自己負担額から上限2,500円の減免を5回まで受けられます。使えるのは出産後1年未満、赤ちゃんの1歳の誕生日前日まで。感染症がある場合や医療が必要な状態でも利用できません。
家事支援は1時間券15枚、ただし生後4か月まで
産後ママ家事支援サービスは1時間券15枚。使えるのは生後4か月まで、多胎児のみ1歳までです。関門は事前登録で、利用前に自宅での登録と申請書の提出が必須。支援内容は調理、掃除、洗濯などの家事に限られます。母乳や育児の相談の助成券は1,000円券4枚の計4,000円分で、令和8年度に3,000円から増額。交付申請は妊娠届出から子どもの1歳の誕生日までで、令和6年4月1日以降は訪問では使えず、指定医療機関等での相談に限られます。
不妊治療は自己負担の3分の2、上限30万円
1組の夫婦につき1年度あたり自己負担額の3分の2、上限30万円。夫婦のいずれかが申請前1年以上松本市に住民登録があり、申請時にも市民であることが条件で、転入直後は使えません。市税の滞納がないこと、健康保険への加入も要件です。年齢は治療開始時の妻が43歳未満(保険は40歳未満6回、40〜42歳3回)。対象は保険適用の不妊治療と、保険回数上限後の体外受精・顕微授精です。
新生児聴覚検査は6,000円、産科の初回受診は1万円
新生児聴覚検査の助成は初回1回につき上限6,000円(費用が下回る場合は実費)。対象は初めて受ける検査だけで再検査は含まれず、産後30日までに受ける必要があります。妊娠届出時に交付される受検票が要り、県外受診は依頼文の提出後に申請します。低所得の妊婦への初回産科受診料支援は上限1万円。市民税非課税世帯またはそれと同等の所得水準の人が対象で、課税されている家族の扶養に入っていると対象外、保険診療分も助成されません。
結婚は29歳以下なら最大70万円、移住は子ども1人100万円加算
結婚新生活支援は、夫婦ともに29歳以下なら上限60万円、住宅取得・リフォームを伴えば10万円加算で最大70万円。39歳以下は上限30万円(同加算で最大40万円)です。令和8年1月1日から令和9年3月31日に婚姻届またはパートナーシップ宣誓が受理されていること、令和7年分の夫婦合計所得が500万円未満であること、夫婦ともにライフデザイン講座の受講か妊娠・出産に関する医師の相談を受けることが条件で、対象経費は令和8年4月1日以降の支払い分に限られます。UIJターン就業・創業移住支援は単身60万円、2人以上の世帯100万円、18歳未満の世帯員1人につき100万円加算。東京圏・愛知県・大阪府からの移住が対象で、移住元に過去10年で5年以上居住し、転入直前に1年以上継続して就業していたことが必要です。
病児保育とファミサポは手続きと世帯要件に注意
病児・病後児保育の利用料は実施施設ごとの設定で、金額は市への確認が必要です。予約システム「テオテ」のアカウント作成に加え、利用予定の施設ごとに登録と承認が要ります。予約は先着順ではなく、症状と受け入れ状況の総合判断で決まります。ファミサポや子育てサポーター訪問の利用料助成は利用料の2分の1・月額上限1万円ですが、対象は生活保護受給世帯、児童扶養手当受給世帯、市民税非課税世帯、松本市福祉医療費受給世帯に限られ、交通費などの実費は助成されません。
松本市をどう見るか
効くのは、医療費の窓口0円と産後まわりの券の厚みです。保育施設に通っていない子がいる世帯なら、預かりも家事も相談も券で賄える設計で、在宅で育てる期間の負担がはっきり軽くなります。保育士の移住支援60万円も、職種を絞った分だけ額が大きい制度です。
弱いのは券の対象から外れた世帯です。保育施設に在籍していれば子育て支援クーポンは使えず、ファミサポの利用料助成も非課税世帯などに限られます。
最大の落とし穴は期限と登録です。家事支援は生後4か月、新生児聴覚検査は生後30日、産後ケアと相談券は1歳の誕生日、移住支援は転入後1年。家事支援は事前登録、病児保育は施設ごとの承認がなければ当日動けません。不妊治療助成の「申請前1年以上の住民登録」も、転入したばかりの人には効きません。