広島市の三世代同居・近居支援は、令和8年度の予定件数が130件です。令和8年7月27日時点ですでに57件が受け付けられており、上限10万円の枠は年度の途中で埋まる可能性があります。
広島市の子育て支援とは、妊娠期の健診と産後ケアに具体的な金額を細かく設定し、医療費助成を令和9年1月に大きく広げる途中にある制度群です。金額は明示されている一方で、期限・枠・所得区分といった条件が随所に効いてきます。収録している広島市の13制度から、金額と条件を整理します。
三世代の近居支援は10万円、住民票を動かす前に申請しないと対象外
三世代同居・近居支援事業は、住み替えにかかる対象費用の2分の1で、1世帯あたり上限10万円です。対象は小学生以下のこどもがいる世帯で、市内の親世帯の近くに住み替えて同居または近居を始める世帯。近居と認められるのは親世帯と同じ小学校区内または直線距離1.2km以内です。最大の落とし穴は申請時期で、必ず住み替え前(住民票異動前)に申請する必要があり、異動後の申請は対象外になります。令和8年度の予定件数は130件で、達し次第終了です。
こども医療費は令和9年1月に18歳まで拡大、それまでは通院に自己負担がある
こども医療費補助制度は、令和9年1月診療分から18歳に達する日以後の最初の3月31日までが対象になり、所得制限も撤廃されます。それ以前は対象が中学3年生までで、保護者の所得により通院の自己負担が変わります。第1子・第2子は初診時1日1,000円から1,500円で月2日まで、第3子以降と所得が基準額未満の場合は初診時1日500円で月4日まで。入院は自己負担なしです。つまり現時点の広島市は、通院が完全無料ではない点を前提に考える必要があります。
妊婦健診は限度額113,210円、超えた分は自分で払う
妊婦一般健康診査の助成は妊婦1人につき14回分・限度額113,210円、多胎妊娠は19回分・限度額144,110円です。限度額を超えた分は自己負担で、出産予定日を超過した分は事後の郵送申請が必要になります。広島市に住民票がない方は対象外です。妊婦歯科健康診査は出産までに1回、自己負担なしですが、無料なのは健診そのもので、治療が必要になった場合の医療費は自己負担。市が委託する歯科医療機関で母子健康手帳別冊の受診票を使う必要があります。初回産科受診料の助成は1回の妊娠につき1回限り上限10,000円ですが、こちらは住民税非課税世帯またはこれと同等の所得水準の方に限られ、課税世帯は使えません。
産婦健診は1回5,000円まで、産後ケアは非課税なら無料
産婦健康診査の助成は、産後おおむね2週間と1か月に各1回の計2回で、1回につき上限5,000円。超えた分は自己負担で、受診日に広島市に住民票がない場合は対象外です。産後ケア事業の自己負担は宿泊型1泊2日11,136円、通所型1日3,409円・短時間2,200円、訪問型1回2,200円。市民税非課税世帯・生活保護世帯は無料です。令和8年度は利用料の半額補助があり、通所型は7日(多胎児は14日)が上限。感染性疾患にかかっている方や入院加療が必要な方は利用できません。産後ヘルパー派遣事業は1時間500円(2時間で1,000円)で、非課税・生活保護世帯は無料。利用は1日2回まで、単胎児は延べ10回・多胎児は延べ20回が上限で、令和9年3月31日までは利用料の半額補助があります。
新生児マススクリーニングは無料だが、採血料は請求される
先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング検査)は検査費用が公費負担で自己負担なしですが、採血料は別に3,000円から4,000円程度かかります。出産した医療機関で生後5日から7日に採血する必要があります。新生児訪問指導は未熟児およびおおむね生後28日以内の新生児とその保護者が対象で、費用は市への確認が必要です。
不育症検査は上限6万円、教材費補助は生活保護世帯限定
不育症検査費用助成事業は1回の検査につき検査費用の7割(千円未満切捨て)で上限6万円。2回以上の流産・死産の既往があることが要件で、対象検査は流死産検体を用いた遺伝子検査と抗ネオセルフβ2グリコプロテインI複合体抗体検査に限られ、令和4年12月1日以降に終了した検査が対象です。保育園等入園世帯への教材購入費等補助は、こども1人につき月額2,700円(年額換算32,400円)を上限に実費徴収分を補助しますが、対象は生活保護世帯のみで、副食費は対象外です。病児・病後児保育事業の利用料は施設により異なるため市への確認が必要で、生活保護世帯・市民税非課税世帯には減免があります。
広島市をどう見るか
強いのは妊娠・出産期です。健診の限度額も産後ケアの自己負担額も数字が公開されており、費用が事前に読めます。弱いのは現時点のこども医療費で、通院に初診時の自己負担があり、所得で月の受診回数まで変わる設計は分かりにくいものです。ここは令和9年1月の所得制限撤廃と18歳までの拡大で解消されます。もう一つの弱点は三世代近居支援の運用で、金額10万円に対して住民票を動かす前という手続き要件と130件の枠が厳しく、知らずに引っ越すと取り返しがつきません。