移住相談窓口に一度も行かないまま高知市へ引っ越すと、最大35万円の補助金を受け取る権利が消えます。
高知市の子育て・移住支援とは、医療費と不妊治療には手厚く、そのかわり多くの制度に「事前相談」「先着順」「課税区分」という関門を置いた制度群です。収録している高知市の14制度から、金額と条件を整理します。
移住補助は最大35万円、ただし転入前の相談が必須
高知市UI孫ターン支援事業費補助金は、基本額が子育て世帯以外10万円、子育て世帯15万円です。これに孫ターン加算5万円、若者加算10万円などが乗り、最大35万円になります。対象は高知市へUIターンし、高知県内の企業等に就職・転職する人です。落とし穴は、転入前に移住相談窓口へ相談していることが必須という点で、引っ越してから知っても間に合いません。令和6年4月1日以後の転入であること、市税の滞納がないこと、過去にこの補助金の交付を受けていないこと、日本国籍または該当の在留資格を有することも要件です。賃借料が対象になるのは若者の場合のみで、先着順です。
東京23区からの移住なら単身60万円・世帯100万円
高知市地方創生移住支援金は、単身60万円、2人以上世帯100万円、帯同する18歳未満1人につき100万円の加算があります。対象は東京23区に通算5年以上在住、または東京23区以外の東京圏から東京23区へ通勤していた人です。こちらも転入前に高知市移住・定住促進課へ相談していることが必須です。加えて高知市に5年以上継続居住する意思があること、転入者アンケートに回答すること、一般就業・専門人材・テレワーク・起業などの就業要件を満たすことが必要で、予算がなくなり次第受付終了となります。
子ども医療費は中学生まで窓口0円、所得制限なし
子ども医療費助成事業は、中学生までの子ども1人につき保険診療の自己負担分を全額助成し、窓口負担は0円です。所得制限はありません。ただし助成対象は保険診療分のみで、健康診断・予防接種などの保険外診療と入院時食事療養費標準負担額は対象外です。ひとり親家庭医療費助成事業は県内での保険診療の一部負担金を全額助成しますが、所得税が課税されていない世帯に限られ、県外で受診した場合は一旦全額を自己負担して払い戻しの申請が必要です。
産後ケアは8回まで、無料になるのは非課税世帯だけ
産後ケア事業は訪問型・通所型・宿泊型を合わせて8回が上限です。課税世帯は訪問型1回1,000〜1,500円、通所型1回2,000〜2,500円、宿泊型1泊4,000〜5,000円の自己負担が必要で、無料になるのは生活保護世帯と市民税非課税世帯だけです。病児保育事業も同じ構造で、市町村民税所得割課税世帯は1日2,000円、所得割非課税世帯は1,000円、生活保護世帯・市町村民税非課税世帯は無料です。食費等が別に1日約300円かかり、実施施設は市内5か所に限られます。
不妊治療は体外受精1回7万円、年齢で回数が変わる
高知市特定不妊治療助成事業は、治療ステージA・B・D・Eで1回最高70,000円、ステージC・Fは40,000円です。妻が40歳未満なら6回、40〜42歳は3回までで、治療開始日時点で妻が43歳未満であることが必要です。一般不妊治療助成事業(タイミング法・人工授精)は1年度につき上限5万円で、連続する2年度が限度です。対象は令和4年4月1日以降に開始した医療保険適用の治療のみで、高額療養費制度の対象となる額は差し引かれます。こちらには年齢制限がありません。
結婚新生活支援は30万円、同居・近居なら45万円
高知市結婚新生活支援事業補助金は1世帯30万円、親世帯との同居・近居なら45万円です。令和8年1月1日から令和9年2月26日に婚姻またはパートナーシップ登録をした夫婦等が対象で、ともに39歳以下、夫婦の所得合計が500万円未満であることが要件です。対象経費は家賃、共益費、礼金、仲介手数料、引越費用に限られ、対象講座の受講が必要です。
奨学金返還支援は最大270万円、6年の就業が条件
こうち奨学金返還支援事業は、中小企業就職の場合、4年制大学卒が年30万円で最大180万円、大学院・6年制大学卒が年45万円で最大270万円です。登録企業に正規雇用で就職し6年間就業することが条件で、中堅企業に就職した場合は年37.5万円・年25万円に下がります。対象は本人の返還が必要な貸与型奨学金に限られます。
土曜のファミサポ補助と老朽住宅の解体補助
こうちファミリーサポートセンターの土曜日利用補助は、1時間700円の報酬のうち400円を補助し、1人1日最大3,600円、年間上限100,000円です。対象は小学1年生から3年生(同時に預ける就学前の子を含む)で、土曜日に就労しているか就労予定であることが要件、予算の範囲内での補助です。老朽住宅等の解体の補助制度は上限1,645,000円ですが、避難路沿道または住宅密集地に位置し、老朽度評点100点以上、昭和56年5月31日以前に着工の3要件をすべて満たす空き家に限られます。
高知市をどう見るか
高知市の強みは、所得制限なしで窓口0円の子ども医療費と、回数・金額が明示された不妊治療助成です。弱いのは費用負担の設計で、産後ケアも病児保育も「非課税世帯は無料、課税世帯は自己負担」という線引きが徹底しており、中間層の負担は小さくありません。そして移住系の2制度はいずれも転入前の相談が必須かつ先着順です。高知市の制度は、金額よりも先に手順と期限を確認すべき設計になっています。