長崎市の移住支援金は最大300万円ですが、5年以内に出て行くと年10.95%の違約金を付けて返すことになります。
長崎市の支援制度とは、移住に大きな金額を張る一方で、日々の子育て支援は自己負担を小さく刻んで広く配る設計です。無料の制度は少なく、500円、800円、2,000円といった定額の自己負担が随所に残ります。収録している長崎市の12制度から、金額と条件を整理します。
最大300万円、ただし5年の居住と年10.95%の違約金
長崎市移住支援補助金は、単身60万円、2人以上の世帯100万円、18歳未満の子1人につき100万円加算です。子ども2人の4人世帯なら300万円になります。対象は直近10年間のうち通算5年以上東京23区に在住または通勤していた人で、就業の類型(マッチングサイト掲載企業への就業、テレワーク、農林水産業、起業・事業承継、関係人口としての地域活動など)ごとの要件を満たす必要があります。申請は移住後1年以内。申請日から5年以上住み続ける意思も条件で、5年以内に転出した場合は全額または半額を一括返還し、さらに年10.95%の違約金がかかります。
6泊しないと1円も出ない「お試し暮らし」
ながさきお試し暮らし応援事業費補助金は、対象経費の2分の1で6泊3万円から始まり、以降1泊につき2,500円が加算されて30泊で上限9万円です。県外に住む人が対象で、6泊未満の滞在は対象外という下限があります。事前に市へ相談し、滞在中に移住相談員と面談することが要件です。対象経費は自宅と長崎市の往復公共交通費、滞在中の宿泊費、市内コワーキングスペース利用料に限られます。
リフォーム補助は上限10万円、しかも抽選
長崎市快適住まいづくり支援費補助金は、対象経費の20%で上限10万円、空き家の改修なら上限20万円です。工事費の合計が税抜20万円以上で、まだ着手していない工事が対象。市内業者への発注が条件で、過去10年度以内に同じ補助金を受けた住宅は使えません。最も注意すべきは抽選制であることです。要件を満たして申し込んでも交付されないことがあり、補助を前提に資金計画を組むのは危険です。
医療費は「1日800円・月1,600円」の自己負担が残る
こども福祉医療費支給制度は0歳から18歳到達年度末までが対象ですが、無料ではありません。1医療機関につき1日800円の自己負担があり、同じ月の同一医療機関で合計1,600円を超えた分が助成されます。調剤は自己負担なしです。保険適用外の診療、入院時の食事代、差額ベッド代、病衣代は対象外。もう一つは現物給付の範囲で、窓口で自己負担額だけを払えるのは未就学児が長崎県内、小中学生は長崎市・諫早市・西海市・長与町・時津町の医療機関に限られます。高校生年代はいったん全額を払って償還払いになります。
妊娠・産後は1回500円から2,500円の定額負担
妊娠期・乳児期家事代行サービスはクーポン利用で1回500円、1世帯6回まで(多胎は12回)、1回おおむね2時間です。利用期間は母子健康手帳の交付から1歳の誕生日の前日までです。産後ケア事業は一般世帯が1回2,500円を上限に5回まで減免で、5回を超える利用は全額自己負担です。市県民税非課税世帯・生活保護世帯は無料ですが、証明書の提出が必要です。低所得世帯妊婦さんの初回産科受診料助成は上限10,000円ですが、対象は住民税非課税世帯または生活保護受給世帯に限られ、課税世帯は使えません。
健診の「無料」は受診票の項目だけ
妊産婦健康診査は妊婦健診14回分(多胎は5回追加)と産婦健診2回分の受診票が交付され、記載された検査項目が無料になります。裏を返せば、医療機関が追加で行う検査やオプション検査は自己負担です。県外での受診や転入者は別途手続きが要ります。新生児聴覚検査は1回3,000円の公費負担で、検査方法によっては超過分が自己負担になります。県外で出産した場合は初回と確認検査の2回まで、領収書を添えて払い戻しを受ける形です。
病児保育2,000円、ファミサポは時間帯で700円から900円
病児・病後児保育は1日2,000円で、食事代500円、駐車料、受診料は別途かかります。保護者が就労・傷病・出産などで育児できないことが要件で、医療機関併設施設を除き事前に医療機関で「利用連絡書」を作ってもらう必要があります。定員があり、予約は前日12時から。生活保護世帯・市民税非課税世帯は証明書類の提出で無料になります。ファミリー・サポート・センターは平日7時から19時が1時間700円、それ以外の時間帯は800円、土日祝の時間外は900円です。会員登録が前提で、まかせて会員が見つからなければ利用できません。
補聴器は購入前に申請しないと対象外
軽度・中等度難聴児補聴器購入費補助制度は、基準価格(機種により53,500円~144,900円)と実購入価格の低いほうの3分の2を補助します。対象は両耳の聴力レベルが30デシベル以上で身体障害者手帳の対象とならない18歳未満の児童です。手帳の交付対象になる場合は障害者総合支援法の給付が優先されます。決定的な条件は、補聴器を購入する前に申請しなければならない点です。
長崎市をどう見るか
弱いのは、日常の自己負担がゼロにならないことです。医療費は1日800円が残り、家事代行は500円、病児保育は2,000円、産後ケアも2,500円。単発では小さくても、病気がちな子がいる世帯では積み上がります。住宅リフォーム補助が抽選制である点も、当てにしづらい設計です。
効くのは移住の入口です。東京23区からの移住であれば、子ども2人で300万円という金額は全国的にも大きい部類です。お試し暮らしで最大9万円という導線もあります。
ただしその300万円には5年の拘束と年10.95%の違約金が付いています。長崎市の制度は、腰を据える人に手厚く、様子見で入る人には向きません。そして補聴器の購入前申請、リフォームの着手前申請、病児保育の利用連絡書と、事前手続きを外すと権利が消える制度が並びます。動く前に申請する、が長崎市を使う際の原則になります。