八戸市には、看護や介護の資格を持って子連れで移り住むと、最大400万円が支給される制度があります。
八戸市の支援制度とは、医療・福祉の人手不足を移住支援金で埋めにいく制度と、妊娠から出産までの移動や検査の実費を細かく拾う制度の組み合わせです。金額の大きい制度ほど、移住元の居住歴という重い要件がつきます。収録している八戸市の14制度から、金額と条件を整理します。
医療・福祉職子育て世帯移住支援金は最大400万円
青森県外から18歳未満の子と共に八戸市へ移住し、市内の医療・福祉施設で就業する有資格者、または県内の養成機関で資格取得を目指す方が対象です。基本額100万円に、子育て世帯加算として子ども1人につき100万円(上限200万円)、ひとり親世帯加算100万円が積み上がり、最大400万円になります。要件は軽くありません。直近1年を含む過去10年間のうち、県外に通算5年以上居住していたことが必要です。令和7年4月2日以降の転入で、申請日時点で転入後1年以内であること、5年以上継続して居住する意思があることも求められます。就業する場合は週20時間以上の無期雇用契約で、しかも指定の職業紹介機関を経由して応募した求人であることが条件です。応募経路を間違えると対象から外れるため、転職活動の入口から確認が必要です。
一般の移住支援金は単身60万円・世帯100万円、子ども1人につき100万円加算
東京圏から八戸市に移住し、就業・テレワーク・起業・関係人口のいずれかの要件を満たす方が対象です。単身60万円、世帯100万円で、18歳未満の子どもがいる場合は1人につき100万円が加算されます。移住元の要件が厳密で、転入直前10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏の条件不利地域以外に在住して東京23区に通勤し、転入直前は連続1年以上その状態だったことが必要です。令和7年4月2日以降の転入で申請時に転入後1年以内、5年以上継続して居住する意思があることも条件で、予算がなくなり次第受付を締め切る場合があります。
妊産婦アクセス支援は交通費・宿泊費で上限10万円
八戸市に住民票がある妊産婦のうち、NICU・GCUに入院する新生児に面会する産婦、ハイリスク妊娠・分娩に該当する方、里帰り出産等で遠方の施設を利用する方が対象です。周産期母子医療センターへの面会は交通費と宿泊費あわせて上限100,000円、分娩取扱施設への通院は出産前最大14泊分、妊婦健診は最大14回分が対象になります。ここでいう「遠方」とは片道60分以上の移動時間を要する場合を指します。3つの支援区分で要件が異なり、周産期母子医療センターへの支援は面会時のみが対象です。
産後ケアは通所型が無料、宿泊型は非課税世帯800円
産後1年未満(施設により産後4か月未満)で心身の不調または育児に不安がある方が対象です。宿泊型は課税世帯3,300円、非課税世帯800円で食事代は別途、通所型は1日コース・半日コースともに無料です。利用回数は宿泊型が最大3回(1泊2日)、通所型が5回以内、または両方あわせて5回まで。双子の場合は1回追加できます。医療行為が必要な場合や感染症の疑いがある場合は利用できません。
子ども医療費は18歳年度末まで、所得制限は令和6年10月に外れた
0歳から18歳になった年度末までの子どもが対象で、高校在学の有無は問いません。保険診療の一部負担金が全額助成されます。令和6年10月診療分からは保護者の所得に関係なく対象になりました。入院時の差額ベッド代や食事代、文書料、健康診断料、予防接種料など保険給付の対象外のものは助成されません。ひとり親家庭等医療費助成のほうは所得制限が残っており、扶養親族0人の場合の所得制限限度額は2,342,000円です。児童は自己負担分の全額が助成されますが、保護者は保険医療機関ごとに月1,000円を超えた分のみが対象で、月1,000円までは自己負担になります。
検査と健診は「受診票」と「委託医療機関」がセット
妊婦歯科健康診査は妊娠期間中1人1回が受診票で無料ですが、無料なのは健診分だけで、治療が必要になれば自己負担です。受診できるのは市の委託医療機関に限られ、受診票がなければ払い戻しもできず、市外へ転出すると受診票は使えなくなります。新生児聴覚検査は1人につき初回検査1回分が対象で、受診票が使えるのは青森県内の委託医療機関のみ。委託外なら償還払いで、自動ABRが上限6,600円、OAEが上限3,800円です。里帰り出産で県外の医療機関を使った場合の妊婦・産婦健診は払い戻しの対象ですが、産婦健診についてはメンタルヘルスチェックを受けていることが助成の条件になります。不育症検査は1回の検査費用の7割(千円未満切り捨て)で上限60,000円、対象は先進医療として認定された3種類の検査に限られます。
病児保育の送迎は無料、ただし「利用済み」であることが条件
病児・病後児保育は1日1,000円〜1,500円で、課税額により変わる場合があります。事前登録と、市内医療機関で取得する医師の連絡票が必要です。送迎サービス自体は無料ですが、利用できるのは1年以内に病児保育室ひまわりまたは滝沢小児科内科医院を利用済みで、予約システムに登録している方に限られます。つまり初めての急病では使えません。対象は内科的疾患のみで外傷は不可、受付は月曜から金曜の10時から15時まで(木曜は午前中のみ)です。子育てショートステイは1日あたり生活保護世帯0円、非課税世帯1,790円、その他3,000円で、原則7日以内。遺児等への弔慰金は死亡日から6か月以内に申請しないと受けられず、入学卒業祝金(各10,000円)は離婚や未婚によるひとり親家庭は対象外です。
八戸市をどう見るか
八戸市は、移住に出す金額が突出しています。医療・福祉職で子連れなら最大400万円というのは全国的に見ても大きい。ただし過去10年で県外5年以上といった居住歴の要件と、転入後1年以内という申請期限があり、条件を満たす人は限られます。予算切れで締め切られる可能性も明記されています。すでに住んでいる人向けの支援は、産後ケアや検査助成など実費を丁寧に埋める性格で、金額のインパクトは小さい。住宅リフォームや家賃補助といった住まいの制度が収録されていない点も、移住後の生活設計では差し引いて考える必要があります。