医療や福祉の資格を持って弘前市へ移住すると、1世帯100万円に18歳未満の子ども1人あたり100万円、ひとり親ならさらに100万円が上乗せされます。
弘前市の子育て支援とは、保育料と学校給食費という毎月の固定費を無償化したうえで、移住と医療・福祉人材の確保に大きな一時金を積む構成です。日常の支援には所得区分と回数の上限が細かく設定されており、一時金は先着順です。収録している弘前市の13制度から、金額と条件を整理します。
医療・福祉職の移住支援金は基本100万円に子ども1人100万円加算
医療・福祉職子育て世帯移住支援金は、1世帯につき基本100万円、18歳未満の世帯員1人につき100万円加算、ひとり親世帯はさらに100万円加算という設計です。対象は、青森県外に通算5年以上在住し移住直前に連続1年以上県外にいた方で、令和7年4月1日以降に移住し18歳未満の子を同時に移住させた場合に限られます。
条件は重めです。5年以上継続して居住する意思が必要で、就業で申請するなら医療・福祉職の資格を持ち、県内医療機関で週20時間以上の無期雇用契約で働くこと。就学なら県内の養成機関で資格取得のため就学中であることが求められます。そして先着順で、予算上限に達した時点で終了します。
東京圏からの移住は2人以上の世帯100万円・単身60万円
東京圏からの移住支援金は、2人以上の世帯で100万円、単身で60万円、18歳未満の子ども1人につき100万円加算です。移住直前の10年間のうち通算5年以上、かつ直近1年以上連続して東京23区に在住、または東京圏から23区へ通勤していたことが前提です。
申請日から5年以上継続して居住する意思に加え、「就業(一般)」「就業(専門人材)」「テレワーク」「関係人口」「起業」のいずれかに該当する必要があります。こちらも先着順で、予算上限に達した時点で終了します。
保育料は0〜5歳全額無料、副食費は月5,100円まで
認可保育所・認定こども園・幼稚園では、0〜5歳児クラスの保育料が全額無料、3〜5歳児クラスの副食費は月額5,100円(年額61,200円相当)まで無料です。他市町村の施設でも対象です。
落とし穴は範囲です。延長保育料、通園送迎費、行事費は対象外で、副食費も月5,100円を超えた分は自己負担。さらに、子どもと保護者がともに市内に住所を有し居住していることが条件です。
認可外保育施設・企業主導型保育施設を使う場合は上限方式で、認可外は0〜2歳児が月42,000円、3〜5歳児が月37,000円まで、企業主導型は0〜2歳児が月42,000円までです。企業主導型は四半期ごとに請求する償還払いなので、いったん施設へ全額を支払う必要があります。
医療費は18歳年度末まで無料、ただし食事代は別
子ども医療費給付は、0歳から18歳到達後最初の3月31日まで、通院・入院の保険診療自己負担分が全額給付されます。所得制限はありません。ただし無料になるのは保険診療分のみで、入院時の食事代や保険適用外の診療は対象外です。婚姻している子ども、ひとり親家庭等医療費給付を受けている子どもも対象外になります。
ひとり親家庭等医療費給付のほうは条件が違います。児童は自己負担分が全額給付されますが、親は医療機関ごとに月額1,000円を超えた分のみ。前年所得が限度額(扶養親族0人で本人2,342,000円、配偶者・扶養義務者6,216,000円)を超えると対象外です。毎年7月の更新手続きを忘れると資格を失います。
産後ケアは訪問型500円、非課税世帯は無料
産後ケア事業の自己負担は、課税世帯で1回あたり短期入所型(1泊2日)5,000円、通所1日型1,500円、通所短時間型500円、訪問型500円。住民税非課税世帯と生活保護世帯は無料です。出産後1年以内が対象で、妊娠8か月から申請できます。上限は3種別あわせて通算7回まで。医療行為が必要な方や感染性疾患の症状がある方は利用できません。
病児保育は1日1,000円、定員は4〜10名
病児・病後児保育事業は市内在住で1日1,000円(市外は2,000円)、飲食物費は別途負担です。効いてくるのは定員で、病児対応型のあらいこどもクリニック病児保育室「きりん」は1日6名、高熱時は4名。病後児対応型の3施設は各6〜10名です。事前登録とかかりつけ医の受診が必要なので、熱が出てから動いても間に合いません。
一時預かりの利用者負担軽減は、生活保護世帯が日額3,000円、住民税非課税世帯2,400円、市民税所得割合算額77,101円未満の世帯2,100円で月5回まで、その他1,500円です。対象は保育施設に在園していない児童に限られます。ショートステイは児童1人1日2,400円、最長7日6泊までです。
給食費は全額無償、就学援助は要件該当が前提
市立小中学校・特別支援学校の給食費は全額無償です(無償化前は小学校1食360円・中学校等400円)。市外の学校や私立は対象外です。
就学援助制度は、新入学学用品費・学用品費・校外活動費・通学費・体育実技用具費・修学旅行費・医療費を費目ごとに援助します。認定要件は生活保護の停止・廃止、市民税所得割の非課税、国民年金保険料の全額免除、児童扶養手当の全部支給、市民税等の減免、災害・病気等による経済的困難のいずれか。収入が少なくても要件に当てはまらなければ対象外です。
なお、平成20年4月2日以降生まれの子を3人以上扶養していれば、ひろさき多子家族応援パスポートが1世帯1枚交付され、市指定の文化・体育・社会教育施設の入場料や使用料が無料になります(有効期限は令和9年3月末日)。
弘前市をどう見るか
弱いのは、日常の細かい支援に所得区分と回数制限が多いことです。一時預かりは世帯区分で日額が4段階に分かれ、77,101円未満の世帯は月5回まで。産後ケアも通算7回まで。使える人と使いにくい人の差が、制度の設計段階でついています。
効くのは固定費の無償化です。保育料0〜5歳全額、給食費全額、医療費18歳年度末まで。この3つが揃っているため、子どもがいる限り毎月の支出が読めます。そして医療・福祉の資格を持つ世帯にとっては、移住支援金の加算構造が突出しています。ただし先着順で予算が尽きれば終わる制度なので、該当しそうなら年度の早い段階で市に相談しておくのが現実的です。