富山市では、東京23区から移り住むと、18歳未満の子ども1人につき100万円が移住支援金に上乗せされます。
富山市の子育て支援とは、医療費の全額助成と、移住・同居を条件にした住宅系の大型補助の組み合わせです。ただし住宅と移住の補助はどれも「どこに何年住んでいたか」を問われます。収録している富山市の13制度から、金額と条件を整理します。
移住支援金は子ども1人100万円加算、居住歴の証明が要る
支援金は単身60万円、2人以上の世帯100万円、申請時に18歳未満の世帯員がいれば1人につき100万円が加算されます。対象は東京23区在住者、または東京圏(条件不利地域を除く)から23区へ通勤していた人。効いてくるのは居住歴で、移住前10年間に対象地域へ通算5年以上、かつ転入直前に連続1年以上住んでいたことが必要。申請は転入後1年以内で、5年以上継続して富山市に住む意思も求められます。就業はマッチングサイト掲載求人への就職、起業は県の起業支援事業の交付決定といった要件も別にあります。
こども医療費は18歳年度末まで自己負担が実質ゼロ
0歳から18歳到達後最初の3月31日まで、保険診療の自己負担分が全額助成されます。入院時の食事療養費、予防接種、差額ベッド代などの保険適用外は対象外。県外の医療機関では窓口無料にならず、いったん支払って後から請求する償還払いになります。災害共済給付や、ひとり親家庭等・重度心身障害者の医療費助成の対象になる場合も、この制度からは外れます。
妊産婦医療費は「対象疾病6つ」だけ
こちらも保険診療の自己負担が全額ですが、対象は妊娠高血圧症候群、糖尿病、貧血、産科出血、心疾患、切迫早産の治療に限られ、通常の妊婦健診や保険適用外は入りません。助成期間は出産した月の翌月末まで、切迫早産は出産日まで。申請が遅れると助成を受けられない月が出ます。
不妊治療は7回目以降に1回30万円
特定不妊治療費助成は、新鮮胚移植・凍結胚移植が各30万円、凍結胚解凍移植と、採卵で良好な卵が得られなかった場合が各10万円。男性不妊治療を併施すれば30万円加算です。ただし対象は保険診療で6回の治療を受けた後の、7回目以降の保険適用外治療に限られます。治療開始時に妻が40歳未満であることが要件で、助成は1年度3回までです。
妊活ペア検査の2万円は、夫婦そろって受けないと出ない
不妊検査費の助成は夫婦1組につき1回限り、自己負担額を上限2万円まで。夫婦の両方が検査を受けていることが条件で、片方だけでは対象になりません。妻が43歳未満で、過去に一般不妊治療や特定不妊治療を受けていないことも必要です。対象は医師が不妊症の診断に必要と認めた検査に限られます。
新生児聴覚検査は5,000円、生後50日を過ぎると出ない
初回検査1回につき上限5,000円。対象は生後50日以内に実施した初回検査のみで、再検査や50日を過ぎた検査は助成されません。上限を超えた分は自己負担です。対象検査は自動ABR、ABR、耳音響放射検査のいずれかです。
産後ケアは事前申請、決定まで1週間かかる
自己負担額は指定産科医療機関・指定助産所・まちなか総合ケアセンター内の産後ケア応援室という利用形態ごとに異なり、金額は市への確認が必要です。注意したいのは手続きで、事前申請が要るうえ、申請から利用決定通知まで1週間ほどかかります。つまり産後すぐには使えません。里帰り中の人も対象なので、出産前に段取りを組むのが現実的です。
預かりは一時預かり3,000円、病児2,000円
公立の一時預かりは1日(4時間以上・昼食あり)3,000円、4時間未満は昼食なし1,500円・昼食あり1,800円。対象は生後6か月から就学前の健康な子どもで、受け入れ年齢は施設ごとに違います。私立は料金が異なります。病児・病後児保育は1日2,000円、お迎え型はタクシー代が別途かかります。入院の必要がなく安静が必要な状態で、保護者の勤務などで家庭保育ができないことが条件。事前予約が必要で、お迎え型は事前登録も要ります。ひとり親世帯や非課税世帯は利用料助成の対象です。
ショートステイは無料から5,600円、期間に上限がある
子育て短期支援事業は、ショートステイが1日あたり無料から5,600円、トワイライトステイが1回あたり無料から1,350円で、額は世帯の課税状況で決まります。期間の上限はショートステイが7日以内、トワイライトステイが3か月以内。受入先は2歳未満が県立乳児院、2歳以上が市立愛育園またはルンビニ園で、2歳未満のトワイライトステイは平日夜間のみです。ファミサポは平日7時〜19時が1時間700円、早朝・夜間と土日祝・年末年始が900円。会員登録と援助会員との事前打ち合わせを済ませないと使えません。
住宅補助は「10年よそに住んでいたか」で決まる
帰住リフォーム補助は、親と同居するために富山市へ戻る子世帯が対象で、対象工事費の2分の1・上限100万円。条件が独特で、子世帯が同居前10年以上、親の住む町内会区域の外に住んでいたことが必要です(18歳未満の子がいる世帯は例外)。まちなか・公共交通沿線居住推進地区は対象外で、市内の登録事業者との契約と3年以上の同居継続も要件です。マルチハビテーション推進事業は、市外の県内在住者がまちなか居住推進地区に住宅を購入・建築する場合の25万円で、市内に3親等以内の65歳以上の親族が住んでいれば10万円加算の最大35万円。申請は登記から1年以内、1人1回限り。どちらも昭和56年以降の耐震基準への適合が必要です。
富山市をどう見るか
効くのは医療費です。18歳年度末まで保険診療の自己負担が全額助成され、定額の窓口負担すらありません。移住支援金も、子どもがいれば加算で総額が大きく伸びます。
弱いのは日常の預かりです。一時預かりは公立で1日3,000円と安くなく、病児保育も1日2,000円。無料に近づくのは非課税世帯など限られた場面です。妊産婦医療費が6疾病に絞られ、不妊治療助成が保険6回を使い切った後の7回目からという設計も、対象は想定より狭くなります。
条件面の鍵は居住歴と期限です。移住支援金は転入直前に連続1年以上、帰住リフォームは10年以上よそに住んでいたこと。産後ケアは決定まで1週間、新生児聴覚検査は生後50日、移住支援金は転入後1年。いずれも後から取り返せません。