東川町では、海外の大学へ進学する年に1人70万円が、返さなくてよいお金として出ます。
東川町の支援制度とは、進学する若者を町の費用で送り出し、戻ってきた人の奨学金返還も肩代わりし、家を建てる人にも金を出すという、人口規模に対して振り幅の広い設計です。ただし多くの制度に「町に住んでいた期間」と「申請期限」という関門があります。収録している東川町の15制度から、金額と条件を整理します。
大学進学奨学金は1年次に国内50万円・海外70万円、しかも給付型
国内の4年制大学・短期大学・専門学校、または海外の大学に進学した学生が対象です。1年次は国内進学で1人50万円、海外進学なら70万円。2年次以降は自宅外通学で年48万円(月4万円)、自宅通学で年12万円(月1万円)が続きます。給付型なので返還は不要です。ただし条件が2つあります。ひとつは保護者が1年以上東川町に居住していること、町税等に滞納がないこと。もうひとつが申請期限で、進学年度の4月末日を過ぎると受けられません。入学手続きに追われる時期と重なるため、進学が決まった段階で日程を押さえておく必要があります。なお海外進学の70万円は1年次のみの額です。
奨学金返還支援は年12万円、3年受け取れるのは27歳以下だけ
奨学金を借りて大学等を卒業し、町内事業所等で正規社員等として就業している29歳以下の方が対象です。補助額は返還額の2分の1以内で、年額上限12万円(月額上限1万円)。申請時に東川町に住民登録があり、町税等に滞納がないことが要件です。見落としやすいのは期間の条件で、最大3年分を受け取れるのは認定申請年度に27歳以下の場合に限られます。28歳や29歳で申請すると、受け取れる年数はその分短くなります。
新築なら町内業者の施工で上限150万円、町外業者だと100万円
きた住まいる建設推進事業は、町内に性能向上型の住宅を新築する方が対象で、事業費の2分の1以内、上限100万円。ただし施工が町内業者なら上限が150万円に上がります。業者選びだけで50万円の差がつく設計です。あわせて景観住宅建築支援事業があり、「東川風住宅」を新築する際に木造のカーポート・車庫・物置を建てる費用に事業費の2分の1以内、上限50万円。こちらは住宅本体の建築費は対象外で、あくまで付属の木造建築が対象です。
浄化槽は改築なら10人槽で135万円、ただし申請期限は10月末
合併処理浄化槽設置整備事業補助金は、金額が槽の大きさと新築・改築で細かく分かれます。5人槽は新築414,000円・改築900,000円、7人槽は新築474,000円・改築1,050,000円、10人槽は新築660,000円・改築1,350,000円。改築のほうが倍以上の額になります。条件は、公共下水道区域外であること、10人槽以下であること、町指定業者による工事であること、道民税・町民税に滞納がないこと、東川町浄化槽保守管理組合に加入すること。そして申請期限は10月末、事業完了期限は2月末です。冬の工事が難しい土地柄を考えると、夏のうちに手を付けないと年度内に間に合いません。
水と空き家にも補助がある
おいしい水給水施設整備事業補助金は、町内に建物を所有する方が対象で、ボーリング・配管工事・洗浄・浄化装置は費用の2分の1(上限なし)が補助されます。水質基準の低下または水枯れへの対応であることが要件で、水質検査への補助は1回限りです。老朽空家等解体支援事業補助金は、解体事業費の5分の1以内で上限50万円。対象は倒壊や建築材料の飛散リスクがあるD評価の空き家に限られ、国営緊急農地再編整備事業に伴う解体は対象外です。補助率が5分の1にとどまるため、自己負担は大きく残ります。
出産・子育て応援給付金は計10万円、期限は2年
医療機関で胎児の心拍が確認された町民に妊娠時5万円、出産後に子ども1人につき5万円が支給されます。他市町村で同様の給付を受けていないことが条件です。申請期限は1回目が妊娠確定日から2年未満、2回目が出産予定日の8週間前から2年未満で、過ぎると受けられません。子ども医療費助成は0歳から18歳(満18歳に達する日以後最初の3月31日まで)が対象で、保険診療の自己負担分を上限なく全額助成します。ただし入院時の食事負担分と保険適用外の費用は対象外で、現物給付を扱わない医療機関では窓口でいったん支払い、後から払い戻しを受ける必要があります。
預かりは「16時」が料金の分かれ目
東川町幼児センターの預かり保育は、13時30分〜16時が無料、16時〜18時30分は1回300円です。対象は幼児センターの在園児に限られます。一時預かり事業は生後6か月から就学前の子どもが対象で、4時間未満が1回800円、8時間以内が1回1,500円。定員に空きがある場合に限り利用できます。産前・産後ヘルパー事業は妊娠中または産後1年未満(多胎妊娠は産後2年未満)の町民が対象ですが、利用料は公開されていないため町への確認が必要です。派遣は旭川市内のヘルパー事業者が行い、町外へ転出して住民票を移すと使えなくなります。
移住の入口は米5kgと体験施設
転入世帯には1回限りで東川産米「ななつぼし」5kgが贈られます。現金の支給はなく、町内での転居は対象外です。移住体験施設「大雪遊水ハウス」は1室あたり5泊49,500円から11〜14泊77,400円(令和8年度)で、令和8年4月開始の北海道宿泊税として1人1泊100円が別途かかります。就職活動や学校見学など具体的な移住行動を行う方が優先され、観光目的では利用できません。
東川町をどう見るか
東川町の設計は、教育と住宅に厚く、日常の子育て支援は薄いという偏りがあります。保育の預かりには800円から1,500円の自己負担が残り、産前・産後ヘルパーの料金すら公開されていません。転入時の支援も米5kgで、移住一時金のような現金はありません。逆に効くのは、子どもが大学へ進む家庭と、町内に家を建てる人です。1年次50万円から始まる給付型奨学金は、返還不要という点で他の貸与型と性格がまったく違います。ただし奨学金は4月末、浄化槽は10月末と、期限が制度ごとにばらばらである点は要注意です。