函館市で介護職か保育職に就くと、自分の奨学金の返還に最大120万円が支援されます。
函館市の支援制度とは、若い働き手を市内に引き留めるための教育資金と、子育て世帯の医療・預け先の負担軽減を組み合わせたものです。金額の大きい制度ほど、居住地や勤務先、申請期限といった前提条件が細かく設定されています。収録している函館市の14制度から、金額と条件を整理します。
奨学金返還支援は介護・保育職なら年24万円、5年で最大120万円
若者応援企業に正職員として新規採用され、市内に住所がある申請年度末時点で35歳未満の方が対象です。支援額は月々の返還額の3分の1相当で、年間上限は通常職が12万円、介護・保育職員が24万円。支援期間は最大5年間、総額で最大120万円になります。対象となるのは大学・短期大学・大学院・高等専門学校・専修学校(専門課程)在学中に借りた日本学生支援機構の学資貸与金や地方公共団体等の貸与資金で、高校在学中の奨学金は対象外です。計画的に返還していることと、市税の滞納がないことも条件になります。
給付型奨学生は月3万円、ただし評定4.3以上の壁がある
高校・高等専門学校3年生、定時制高校4年生または高卒認定試験合格者で、翌年度に4年制以上の大学へ進学予定の方が対象です。月額上限30,000円(年額360,000円)に入学一時金上限100,000円が加わり、支給期間は大学の正規修業年限。返還は不要です。条件は厳しく、世帯の合計所得金額が320万円以下であること、高校1・2年生の全履修教科の平均評定が5段階で4.3以上であることが求められます。短期大学、大学院、海外の大学へ進学する場合は対象外です。函館市の住民基本台帳に記録されている方に扶養されていることも必要になります。
ヤングファミリー住まいりんぐ支援は家賃補助が月最大15,000円、対象は52地区限定
中学校卒業前の子と同居する世帯が、西部地区・中央部地区の対象52地区の民間賃貸住宅に転入した場合に、家賃から勤務先等の住宅手当を差し引いて3万円を超えた分が補助されます。月額上限15,000円、年額上限180,000円で、補助期間は同居する子が中学校を卒業する月まで、かつ16年間以内。落とし穴は移住元の要件で、補助対象地区外に1年以上継続して住民票上の住所を定めていたことが必要です。所得が月額31万3千円以下であること、他の公的家賃補助を受けていないこと、市税の滞納がないことも条件になります。申請期限は転入後、翌々年度の4月20日までです。
住宅リフォーム補助は耐震で上限40万円、予算がなくなれば終了
既存住宅の所有者が対象で、バリアフリー・省エネ改修は対象額の20%以内で限度額20万円、耐震改修は工事費の20%以内で限度額40万円です。対象額の合計が30万円以上の工事であることが条件で、新築・増築は対象外。昭和56年5月31日以前に建築された住宅は耐震性を満たすことが要件になります。過去10年以内に同じ区分で補助を受けていないこと、市税の滞納がないことも必要です。先着順の性格が強く、予算がなくなり次第終了します。
子ども医療費は18歳年度末まで、所得制限は令和5年に廃止済み
満18歳に達する日以後最初の3月31日までの子どもが対象で、入院・通院・調剤・指定訪問看護・治療用装具等にかかる保険診療の自己負担分が全額助成されます。令和5年4月1日から所得制限は廃止されました。ただし保険外診療、予防接種、健康診査、入院時の食事療養標準負担額は対象外です。道外の医療機関を受診した場合は窓口で無料にならず、いったん支払ってから払い戻しの申請が必要になります。ひとり親家庭等医療費助成も令和5年4月から所得制限が廃止されていますが、親については通院が対象外で、入院と指定訪問看護のみが助成されます。
産後ケアと妊産婦の移動費に細かく値段がついている
産後ケアは宿泊型が1泊2日7,200円(追加1日につき3,600円、最大6泊7日)、通所型が3時間1,200円・6時間2,400円、訪問型が約2時間1,600円です。通所型と訪問型は合わせて最大7日間まで。生活保護世帯と市民税非課税世帯は証明書類を提出すれば免除されます。自宅から最寄りの医療機関まで25kmを超える妊産婦には、片道25〜50kmで1回613円の交通費(妊婦健診14回・産婦健診1回まで)、50km超なら1泊上限5,600円の宿泊費が最大14泊分。宿泊費は実額から2,000円を控除した額と上限額の低い方になります。多胎妊娠の方は自費分の妊婦健診に1回上限5,000円が5回まで。不妊治療は先進医療の自己負担額の10分の7(上限35,000円)で、交通費は函館から札幌の場合往復8,360円を最大5回分です。
預け先の料金と、遺児手当の意外な除外条件
病児保育は市内居住者が1人1日1,000円、市外居住で保護者が市内勤務なら3,000円、延長は10分200円です。事前登録が必要で、登録から1週間後にようやく使えるようになります。ショートステイは1日あたり2歳未満2,675円、2歳以上1,375円で、生活保護世帯・市民税非課税世帯は無料。送迎は保護者が行います。一時預かりは市補助事業実施施設で1日1,800円が目安ですが、給食費・おやつ代が含まれない施設もあります。遺児手当は両親を失った場合に年額36,000円(15歳以下)/60,000円(16〜17歳)ですが、父または母のみを失ったケースは、理由が病死や自殺だと対象外になります。
函館市をどう見るか
函館市の強みは、教育資金と住まいに現金が出る点です。子育て支援だけの自治体が多いなか、奨学金返還支援と家賃補助、リフォーム補助が並んでいるのは選択肢として厚い。ただし条件は狭く、住まいりんぐ支援は52地区限定で転入前1年以上の区域外居住が要り、給付型奨学生は評定4.3以上、返還支援は若者応援企業への就職が前提です。どれも「該当すれば大きいが、該当しない人は何も受け取れない」設計になっています。リフォーム補助は予算切れで終了するため、年度の早い段階で動くのが現実的です。