親の家の近くに住宅を買うだけで、最大100万円が出る市があります。ただし10年住み続けるのが条件です。
松戸市の子育て支援とは、保育の受け皿から漏れた世帯を金銭で埋める設計です。認可に入れなかった、幼稚園の預かりに頼るといった「制度の隙間」に、月額上限つきの助成が並びます。収録している松戸市の16制度から、金額と条件を整理します。
三世代同居等住宅取得支援は最大100万円、契約前の事前相談が必須
近居50万円・同居75万円に転入加算25万円で最大100万円です。100万円になるのは同居かつ市外からの転入の場合で、近居のみなら50万円。対象は中学生以下の子がいる世帯または夫婦とも42歳以下の若年夫婦世帯(令和7年4月から追加)で、親世帯が市内に1年以上居住、両世帯とも市税の滞納がない、10年以上の同居・近居を継続することが条件です。最大の落とし穴は住宅の売買契約前に事前相談を提出しなければならない点で、契約後に知っても間に合いません。住宅は新耐震基準を満たす自己居住用(中古可)で、近居は直線2km以内という要件もあります。
認可外保育料助成は3歳未満で月21,800円、条件は7つすべて
認可保育所に申し込んで保留となり認可外に通う場合、認可保育所保育料との差額の2分の1が助成されます。上限は3歳未満で月21,800円(年261,600円)、3歳以上で月12,000円(年144,000円)。ただし条件が7つあり、指導監督基準を満たす施設、認可保育所に申し込んで保留、支給認定2号・3号の取得、家庭保育が困難な事由、1日5時間以上かつ月16日以上の月単位契約、施設の保育料に滞納がない、認可保育所より高い保育料を納めていることのすべてが必要です。
私立幼稚園の預かり保育は月25,000円まで、指定園に限られる
私立幼稚園預かり保育料助成は、預かり保育料から施設等利用給付額(月額上限11,300円)を差し引いた額を月25,000円、年額最大30万円まで助成します。ただし対象は市が指定する助成対象幼稚園に限られ、指定外の園では受けられません。施設等利用給付認定に加え、月56時間以上の就労や妊娠中、疾病・障害、介護などの要件も必要です。送迎保育ステーションは月額1,000円ですが送迎バス代は別途かかり、育児休業中は利用を開始できません。
子ども医療費は通院1回200円、無料は非課税世帯だけ
子ども医療費助成は18歳到達年度末まで対象ですが、通院1回・入院1日につき200円の自己負担があります。無料になるのは調剤と住民税非課税世帯のみで、同一医療機関で同一月の通院6回目以降・入院11日目以降は自己負担がなくなります。ひとり親家庭等医療費等助成は保護者300円、児童200円の自己負担で、児童扶養手当が所得制限で支給停止になっている場合は対象外です。
産後ケアは7日以内、6日目から料金が倍になる
産後ケア事業は宿泊型・日帰り型・訪問型あわせて7日以内で、1日あたりの自己負担は宿泊型2,000円(相部屋1,250円)、日帰り型1,500円、訪問型700円です。見落としやすいのは、6日目と7日目の利用料が1〜5日目の倍額になる点です。無料は住民税非課税世帯と生活保護世帯のみ。宿泊型・日帰り型は産後4か月未満、訪問型は産後1年未満と対象期間が異なります。
訪問ヘルパーは1時間500円、各期間ごとに年40時間
まつドリbabyヘルパーは1時間500円(非課税世帯300円、生活保護世帯無料)で、妊娠期・0〜1歳・1〜2歳の各期間ごとに年40時間、多胎は年80時間まで使えます。原則は保育サービスを利用していない世帯が対象ですが、令和7年4月から多胎児家庭は利用中でも対象になりました。1回2時間から、月曜から土曜の9時から19時に限られます。妊娠届出時の保育所一時預かり無料券は2時間分で、超過分は3歳未満1時間350円・3歳以上180円、給食費1日250円は対象外です。使えるのは公立保育所6園だけです。
移動と用品は自転車5万円、多胎ベビーカー3万円
幼児同乗用自転車等購入支援は購入金額の2分の1で上限50,000円。対象は未就学児が2人以上いる世帯(児童扶養手当受給者は1人でも可)で1世帯1台限り、令和3年4月以降に市内販売店で購入したもので、自転車はBAAマークと幼児2人同乗基準適合車マーク、座席とヘルメットはSGマークが必要です。多胎児用ベビーカーは2分の1で上限30,000円、購入は新品のみ、開始から1年以内の申請が必要です。
受験応援助成は最大53,000円、ただし一般世帯は対象外
子どもの受験応援助成は、大学等の受験料が上限53,000円、その模擬試験費用が上限8,000円、中学3年生の模擬試験費用が上限6,000円です。ただし対象は生活保護受給世帯、児童扶養手当受給世帯と同等の所得のひとり親世帯、高校奨学金受給世帯、住民税非課税世帯に限られ、一般世帯は使えません。高等学校入学資金は公立160,000円以内、私立300,000円以内、併願210,000円以内ですが、給付ではなく貸付です。返還期間の2年間は無利息で、中学校長の推薦と市内の連帯保証人、所得基準も必要です。
幼稚園の給食費は月1,000円、遺児手当は月最大10,500円
幼稚園等の給食費等支援給付金は在園児1人につき月額1,000円の定額で、実際に支払う給食費の額にかかわらず支給されます。令和8年度から多子世帯限定が廃止され全児童に拡大されました。毎月1日時点の在籍が要件で、満3歳児クラスは対象外です。遺児手当は父母とも死亡で月額10,500円(生活保護受給中は8,000円)、一方の死亡で月額5,500円、所得制限があります。
松戸市をどう見るか
強いのは保育の周辺です。認可外の月21,800円と私立幼稚園預かりの月25,000円は年額で20万円台後半から30万円になり、認可に入れなかった世帯の損失をかなり戻します。住宅取得の100万円も大きい部類です。一方で医療費は通院1回200円が残り、完全無償の自治体には見劣りします。受験応援助成も対象が低所得世帯に絞られ、一般世帯が使える現金給付はほとんどありません。注意すべきは条件の多さです。住宅は契約前の事前相談、認可外助成は7条件すべて、預かり保育は指定園と、知らずに動くと取り逃す設計になっています。