子どもの医療費を無料にする自治体が増えるなか、八千代市では通院1回につき300円が残ります。
八千代市の子育て支援とは、現金給付や大型の補助金ではなく、妊娠届出から3歳児健診までの健診・訪問・相談を切れ目なく並べた保健サービス中心の制度群です。金額の大きい支援は少なく、そのぶん「いつ案内が届き、いつまでに申し込むか」が実務上の要点になります。収録している八千代市の17制度から、金額と条件を整理します。
子ども医療費は無料ではなく、通院1回300円・入院1日300円
子ども医療費助成制度は、0歳から中学3年生までを対象に保険診療の自己負担分を助成します。ただし完全無料ではなく、入院1日300円・通院1回300円の自己負担が残ります。調剤は0円です。
所得制限はありませんが、自己負担額は保護者の前年度市町村民税の課税状況で決まり、所得割非課税世帯は自己負担0円になります。つまり「所得で対象から外れる」のではなく「所得で自己負担額が変わる」設計です。
高校生世代は扱いが変わります。15歳以降最初の4月1日から18歳以降最初の3月31日までは入院のみが対象で、通院は含まれません。しかも償還払いのため、窓口でいったん支払ってから申請することになります。
ひとり親家庭も自己負担300円、更新は毎年8月
ひとり親家庭等医療費等助成も自己負担は入院1日300円・通院1回300円、調剤0円で、所得割非課税世帯は0円です。対象は離婚・死亡・重度障害・遺棄・拘禁などによるひとり親家庭等の18歳までの児童(障害がある場合は20歳未満)と、監護する親。
落とし穴は3つです。児童扶養手当と同様の所得制限があること、生活保護受給者や健康保険未加入者は対象外であること、毎年8月に更新手続きが必要であること。更新を忘れれば資格が切れます。県外受診や受給券を忘れた場合は償還払いの申請になります。
妊婦歯科健診は自己負担400円、妊娠中1回だけ
妊婦歯科健康診査は、口腔内診査と歯科保健指導を自己負担400円で受けられます。生活保護受給者は免除です。受診できるのは妊娠中1回のみで、受診券は母子健康手帳と一緒に交付されます。
母子健康手帳の交付には、身分証明書、個人番号確認書類、妊娠届出書が必要で、医師により妊娠が確認されていることが前提です。本人が来られない場合は委任状による代理申請ができ、就労等の事情があれば土曜日や夜間の予約制交付も使えます。
乳幼児健診は案内待ちで、歯科は申し込みが要る
1歳6か月児健康診査は1歳3か月時点で案内と受診票が郵送され、委託医療機関で受診します。受診票に記載のない検査は対象外です。3歳児健康診査と3歳児歯科健康診査は3歳3か月になる月の下旬に案内が届き、母子健康手帳と受診票の持参が必要です。
歯科健診は事業ごとに手続きが違います。1歳6か月児歯科健康診査(1歳10〜11か月が対象)は申し込み不要で案内書類が届きますが、2歳6か月児歯科健康診査は電話申し込みが必要で、締切は実施日の1週間前。ここだけ自分から動く必要があり、見落とすと受けられません。
定員のある事業は先着順で埋まる
パパとママの子育て教室は参加費無料ですが、定員8組の先着順です。対象は妊娠7か月前後の夫婦で、会場は八千代市保健センター。枠が埋まれば参加できません。
歯科相談は毎月第4火曜日の午後1時30分から4時まで、1人30分の予約制で、定員があるため希望日に受けられない場合があります。4か月児赤ちゃん広場は保護者の参加が最大2名まで、兄姉の同伴は事前相談が必要です。
出生連絡票は生後28日以内、訪問は生後4か月まで
出生連絡票は、産後の体調確認や育児相談につなげる書類で、出生後28日以内に記入して提出する必要があります。すくすくセット内の様式を使います。提出が遅れれば、その後の支援につながるタイミングもずれます。
乳児家庭全戸訪問事業は生後4か月までの乳児がいるすべての家庭が対象で、実際の訪問は生後2〜3か月児が中心。訪問は無料で、案内は予防接種予診票とあわせて送付されます。母子保健に関する電話相談も無料(通話料は利用者負担)ですが、受付は月曜から金曜の午前8時30分から午後5時までです。
未熟児養育医療と福祉資金は個別確認が前提
未熟児養育医療は、出生体重2,000g以下または特に生活力が弱いと医師が判断した1歳未満の子どもが対象で、指定養育医療機関での入院治療費を公費で一部負担します。自己負担金は世帯の所得税額で決まるため一律の額はなく、おむつ代や差額ベッド代など保険対象外の費用は自己負担です。
母子・父子・寡婦福祉資金貸付は、修学資金で高校が月額2.7万〜4.5万円、大学が月額6.75万〜8.1万円(年額最大97.2万円)。事業開始資金から結婚資金まで12種類があり、用途ごとに限度額が異なります。給付ではなく貸付で返還が必要であり、詳しい貸付条件と申請手続きは公式ページに記載がないため、子ども福祉課への確認が必要です。
八千代市をどう見るか
弱いのは、金額として受け取れる支援の薄さです。この17制度に、出産祝い金や住宅補助のような現金給付は含まれていません。医療費も通院1回300円が残り、妊婦歯科健診にも400円の自己負担があります。教育面で確認できるのは貸付制度だけで、条件は市への問い合わせが前提です。
効くのは、妊娠から3歳までの伴走です。母子健康手帳の交付、出生連絡票、生後2〜3か月の全戸訪問、4か月児赤ちゃん広場、1歳6か月・2歳6か月・3歳の健診と歯科健診、電話相談と歯科相談。ここは案内が自動で届く形で組まれており、初めての子育てで何をすべきか分からない時期の支えとしては機能します。
使う側が気をつけるべきは手続きの型の違いです。案内が届くだけのもの、電話申し込みが必要なもの(2歳6か月児歯科健診は1週間前締切)、先着順で埋まるもの(パパとママの子育て教室は8組)、毎年更新が要るもの(ひとり親医療は8月)、期限が短いもの(出生連絡票は28日以内)が混在しています。金額を比べるより、届いた案内を放置しないことのほうが、この市では実利につながります。