双子や三つ子を連れて外出したときのタクシー代に、堺市は1年度あたり2万円まで助成します。
堺市の子育て支援とは、第2子以降の保育料をゼロにし、多胎児や支援者のいない家庭に個別の枠を用意する一方、料金が公表されていない制度も少なくない構成です。収録している堺市の14制度から、金額と条件を整理します。
多胎児家庭の外出に、タクシー代を年2万円まで
多胎児家庭外出支援事業は、多胎児と一緒に外出した際のタクシー料金を1年度・1家庭あたり上限20,000円まで助成します。対象は令和5年4月2日以降に生まれた多胎児を養育している保護者で、タクシー利用日と申請日の両方で堺市に住所があることが必要です。助成されるのは令和8年4月1日から令和9年3月31日までの利用分に限られ、アンケート回答票の提出も求められます。
第2子以降の保育料は0円、ただし給食費は別
堺市独自施策として、認定こども園・保育所・地域型保育事業を利用する第2子以降の保育料が0円になります。条件は、きょうだいが生計を一にしていること。無償になるのは認可施設の保育料だけで、給食費(主食費・副食費)、行事費、通園送迎費、延長保育料は対象外です。認可外保育施設等は無償化ではなく、上限つきの助成金という別扱いです。
子ども医療費は所得制限なし、初日と2日目は500円ずつ
子ども医療費助成の対象は0歳から18歳到達後最初の3月31日までで、所得制限はありません。ただし完全無料ではなく、1医療機関につき通院・入院ごとに1日500円まで(同一月2日まで)の自己負担があります。負担が0円になるのは調剤薬局と、同一医療機関の同一月3日目以降。月2,500円を超えた分は自動返金されます。健康診断、予防接種、差額ベッド代、診断書料は対象外です。
産後ケアは宿泊型5,200円、減額利用は5回まで
産後ケア事業の1回あたり自己負担は、宿泊型(1泊2日)5,200円、デイサービス型2,600円、訪問型3,500円。市民税非課税世帯や生活保護世帯は宿泊型1,300円、デイ700円、訪問500円まで下がりますが、この減額利用は合計5回までです。通常世帯には減額がありません。回数の上限は1出産につき宿泊型7泊、デイ7日、訪問3日で、合計14日まで。対象は生後1歳未満の赤ちゃんと母親で、宿泊型とデイ型は周囲に支援者がない方が前提。多胎児は追加料金がかかります。
育児支援ヘルパーは最大50回、多胎は80回
育児支援ヘルパー派遣の利用者負担は1時間まで0〜700円、2時間まで0〜1,400円。0円になるのは生活保護世帯など課税状況が一定の世帯に限られ、課税世帯は1時間あたり最大700円がかかります。対象は妊娠届出日から出産後1年以内で、家事・育児が困難でありながら援助してくれる人がいない方。回数は最大50回、多胎の場合は最大80回までです。
不妊治療の先進医療に上限5万円、申請開始は令和8年10月
不妊治療費(先進医療)助成事業は、1回の治療につき対象医療費の10分の7、上限5万円。回数は妻が40歳未満なら6回まで、40〜42歳は3回までです。治療開始日時点で妻が43歳未満であること、令和8年4月1日以降に開始した治療であること、他自治体で同一の先進医療の助成を受けていないことが条件。出産した場合は回数がリセットされます。申請受付の開始は令和8年10月1日です。
誰でも通園は月10時間、料金は市へ確認が必要
こども誰でも通園制度は、保護者の就労状況を問わず0歳6か月から3歳未満の子どもが月10時間(年間120時間相当)まで施設を定期利用できます。使えるのは市内の実施施設に限られ、利用料は市へ確認が必要です。ショートステイは疾病・出産・恒常的な残業などで一時的に養育が困難になった家庭向けで、原則7日以内。事前に区役所子育て支援課の利用決定が要り、受け入れ状況次第では希望どおり使えません。料金は市へ確認が必要です。夜間養護・休日預かりのトワイライトステイも実施されています。
ファミサポと病児保育は、事前登録がないと使えない
ファミリー・サポート・センターは有償の相互援助活動で、依頼会員・提供会員とも会員登録研修(無料)の受講が必要です。ひとり親家庭には利用料金の半額給付制度があります。利用料金はセンターへの確認が必要です。病児保育(施設型・訪問型)は生後6か月から小学6年生までが対象ですが、事前登録と登録時の面談が必須。面談では子どもの様子やアレルギー、投薬の聞き取りがあります。利用料と受け入れ枠は施設ごとに異なるため、施設への確認が必要です。産婦健康診査は産後2週間前後と1か月前後の計2回が公費負担で、産後9週以上は対象外。受診票は大阪府内の委託医療機関または助産所のみで使え、府外は償還払いです。
奨学金は申請しても採用されるとは限らない
堺未来応援奨学金は、大学生等が年額12万円の一括支給、高校生等が年額6万円(通信制・専攻科は国公立50,500円・私立52,100円)。大学生等はJASSOの給付型奨学金を4月分から9月分まで継続受給していること、成績が5段階評価で平均3.0以上であることが要件で、募集120人程度を成績値の高い順に採用します。高校生等は保護者の合計所得が基準額以下(4人世帯315万円など)で、募集約500人を困窮度の高い順に選びます。つまり要件を満たしても採用されない可能性があります。就学援助は所得基準が4人世帯291万円以下などで、学用品費が小学校13,230〜15,500円・中学校25,040〜27,310円、入学用品費が小学校64,300円・中学校81,000円。支給額は申請時期で変わり、これらは4月申請時の額です。
堺市をどう見るか
光るのは、対象を絞った現金支援です。多胎児のタクシー代年2万円、育児支援ヘルパー最大50回(多胎80回)は、必要な家庭にはっきり届きます。第2子以降の保育料0円も堺市独自で効果が大きい。弱いのは情報の透明性です。誰でも通園、ショートステイ、ファミサポ、病児保育と、日常的に使う制度ほど料金が公表されておらず、比較の前に問い合わせが要ります。産後ケアも通常世帯は宿泊型5,200円、子ども医療費も月2,500円までは払う設計です。奨学金は要件を満たしても採用は保証されません。堺市は「該当すれば厚いが、該当するかを確かめる手間が大きい」市です。