子供の習い事に、年12万円分のクーポンが出る街があります。大阪府吹田市です。
吹田市の子育て支援とは、医療費と健診の自己負担を広く薄く削りながら、ひとり親世帯や低所得世帯には習い事費用や就学援助で厚く上乗せする、二層構造の制度群です。収録している吹田市の14制度から、金額と条件を整理します。
習い事助成は年12万円、ただし現金は1円も出ない
子供の習い事費用助成事業は、対象の児童・生徒1人につき年額12万円を上限に助成します。対象は小学4年生から中学3年生で、保護者が生活保護受給世帯、児童扶養手当受給世帯、または吹田市ひとり親家庭医療費助成制度の対象世帯であることが条件です。落とし穴は交付の形です。現金給付ではなく電子クーポンまたはカード型クーポンで交付され、登録された事業者の習い事にしか使えません。通わせたい教室が未登録なら12万円は使えないということです。年度途中に対象になった場合は月割計算になります。
子ども医療費は18歳年度末まで、所得制限なし
子ども医療費助成制度は、18歳到達後最初の3月31日までの児童が対象で、保険診療の自己負担額を助成します。所得制限はありません。ただし訪問看護のみ1回500円の自己負担が残ります。生活保護世帯、ひとり親家庭医療証保有者、重度障がい者医療証保有者はこの制度の対象外で、それぞれの制度が適用されます。保険適用外の費用は助成されません。
不育症は治療に年30万円、検査に6万円
不育症治療費用助成は1年度あたり上限30万円です。対象は医療保険適用外の治療費のみで、低用量アスピリン療法とヘパリン療法(在宅自己注射を含む)に限られます。治療が終了していること、他自治体から同様の助成を受けていないことが条件です。
不育症検査費用助成は1回の検査につき医療機関支払額の7割相当額(千円未満切り捨て)で上限6万円。2回以上の流産・死産の既往がある人が対象です。対象検査は流死産検体を用いた遺伝子検査1、抗ネオセルフβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体検査などに限定され、保険診療分は対象外です。検査実施日時点で吹田市に住民登録があることが要件になります。
私立幼稚園の給食費は月5,100円まで、対象は限定的
吹田市私立幼稚園給食費補助金は、対象児1人につき月額上限5,100円、年額換算で最大61,200円です。市町村民税所得割額が夫婦合計77,101円未満の世帯、小学3年生までの兄姉から数えて第3子以降、生活保護受給世帯または里親委託児童のいずれかに該当することが条件です。補助対象は副食費のみで主食費は対象外。園に支払う副食費と上限額の低いほうが支給されるため、5,100円が満額出るとは限りません。
病児保育は1日2,000円、使う前に受診が必要
病児・病後児保育は1人1日2,000円です。生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は全額免除、所得割のみ非課税の世帯は半額免除になります。注意すべきは手順で、利用前に吹田市内の医療機関を受診し、医師が利用可否を判断する必要があります。開所は月曜から金曜の午前8時から午後7時までで、土日祝日と年末年始は使えません。
休日保育のほうは、こども発達支援センター1か所のみでの実施です。日曜・祝日等の午前8時から午後7時で、1月1日から3日は実施しません。料金は1日あたり0歳児2,400〜3,600円、1〜2歳児2,400〜3,000円、3歳以上児2,000〜2,600円(おやつ代100円込み)で、時間帯によって変わります。
一時預かり事業は、利用料と受入年齢を各施設が定めるため、事前の施設確認が必要です。公立施設は2025年6月利用分からWEB予約に対応しています。
新小1の入学準備は57,060円、中学入学は81,000円
就学援助は二本立てです。入学前に受け取れる小学校新入学学用品費は、認定された新小学1年生1人につき1回57,060円の口座振込。判定は前々年中の世帯全員の合計所得金額で、認定基準額(生活保護基準の1.2倍が目安)以下であることが条件です。
在学中の就学援助費は、年額で学用品費が小学生11,630円・中学生22,730円、通学用品費2,270円、校外活動費が小学生3,200円・中学生4,620円。中学入学に向けた新入学学用品費81,000円は小学6年生のみが対象です。修学旅行費は実費。生活保護の教育扶助を受けている場合は対象外になります。
里帰り出産の健診は最大121,000円まで戻る
大阪府外の医療機関で健診を受けた場合の費用助成があります。妊婦健康診査は合計上限121,000円、産婦健診は1回5,000円、新生児聴覚検査はABR5,000円・OAE1,500円、1か月児健診は7,420円です。助成対象は吹田市に住民票がある期間に受けた健診に限られ、出産の諸経費や保険診療分は対象外。上限を超えた分は自己負担です。
耐震改修は最大105万円、ただし先着順で所得の壁がある
昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造住宅が対象です。耐震改修は工事費の5分の4と80万円(特定世帯は105万円)×住居戸数のいずれか少ない額、除却は工事費の5分の4と50万円のいずれか少ない額。耐震診断の評点が1.0未満であることが前提で、所有者の課税所得金額が507万円未満(除却は資産1,000万円以下)という所得要件があります。105万円になる特定世帯は、世帯全員の合計所得金額が256万8千円以下の場合に限られます。そして年度予算の範囲内で先着順です。年度後半に動き出すと枠が残っていない可能性があります。
吹田市をどう見るか
弱いのは住宅系です。収録されている住宅支援は耐震改修・除却の1本のみで、新築や移住に対する直接の補助は見当たりません。しかも先着順と所得制限の二重の関門があります。
効くのは、ひとり親・低所得世帯に絞った上乗せです。習い事に年12万円、幼稚園の給食費に月5,100円、病児保育の全額免除と、対象になれば金額が大きい制度が揃っています。逆に言えば、所得が基準を超える世帯にとっての吹田市の支援は、所得制限のない子ども医療費助成と、里帰り出産の健診助成がほぼすべてです。自分がどちらの層に入るかで、この街の手厚さの見え方は大きく変わります。