塾や習い事の月謝に、大阪市は月1万円を出します。小学5年生から中学3年生まで、年額に直せば最大12万円のクーポンです。
大阪市の子育て支援とは、塾代・給食費・0〜2歳の保育料といった毎月の固定費を直接ゼロに近づける、家計直撃型の設計です。収録している大阪市の14制度から、金額と条件を整理します。
塾代助成は月1万円、ただし登録事業者でしか使えない
習い事・塾代助成事業は、小学5年生から中学3年生のこども1人につき月額上限1万円分のクーポンを交付します。落とし穴は三つ。使えるのは市に登録された学習塾や習い事教室だけで、未登録の教室では使えないこと。現金は支給されないこと。そして使わなかった月の分は繰り越されないことです。令和8年度からはデジタルクーポン方式になり、原則スマートフォンでの利用になります。
給食費は市立小中学校で全員無償
学校給食費は、大阪市立の小学校・中学校・義務教育学校に在籍する全児童生徒が無償です。無償化前の令和8年度標準額は小学校低学年で1日337円、中学校で1日410円でした。ただし対象は市立学校のみで、国立・私立や市外の学校に通う場合は対象外。学用品費、修学旅行費、教材費は別途負担です。アレルギー等で給食を利用しない場合の代替費用も補助されません。
0〜2歳の保育料無償化は、全員対象が令和8年9月から
認可保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育を利用する0〜2歳児の保育料が無償です。ただし第1子を含む全員が対象になるのは令和8年9月から。それ以前は第2子以降が対象でした。無償になるのは保育料だけで、給食費(副食費・主食費)、行事費、延長保育料、通園送迎費といった実費は引き続き自己負担です。認可外保育施設はこの制度ではなく、国の無償化制度(上限額あり)の扱いになります。
こども医療費は所得制限なし、自己負担は月2,500円が上限
こども医療費助成の対象は0歳から18歳に達した日以後最初の3月31日まで。令和6年4月から所得制限は撤廃されました。自己負担は1医療機関ごとに1日最大500円で月2日まで、複数の医療機関にかかっても月2,500円が上限で、超えた分は助成されます。保険適用外の健康診断・予防接種・差額ベッド代と入院時食事療養費は対象外。生活保護受給中や他の公費医療の対象者も対象外です。
産後ケアは訪問型が1回500円
大阪市産後ケア事業は、宿泊型が1泊目4,250円・2日目以降1日2,125円、日帰り型が1日1,500円、訪問型が1回500円。低所得世帯はそれぞれ2,500円/1,250円、1,000円、訪問型は無料になります。減額が適用されるのは生活保護世帯や市民税非課税世帯などに限られます。日数の上限は宿泊型1〜6泊、日帰り型最大7日、訪問型最大5回。対象は産後1年未満の母子で、令和8年4月から特定の心身の不調がなくても利用できるようになりました。感染症等や委託施設に空きがない場合は利用できません。
妊婦健診は上限122,020円、償還払いは1年以内
妊婦健康診査の公費負担は、単胎妊娠で総額122,020円、多胎妊娠で129,580円が上限(令和7年度、受診券1回あたり3,780円〜24,940円)。上限を超える検査費用や受診券に記載のない検査、初診料の一部は自己負担です。受診券が使えるのは大阪府内、兵庫県(神戸市を除く)の一部、奈良県、滋賀県、京都府の契約医療機関・助産所に限られます。それ以外で受診した場合は償還払いの申請が必要で、期限は妊娠終了から1年以内。産婦健康診査は産後8週以内に2回まで公費負担で自己負担なしですが、こちらも市が定めた検査項目のみです。初回産科受診料支援事業は住民税非課税世帯・生活保護世帯限定で、初回受診分だけを上限1万円まで助成します。2回目以降は出ません。
一時預かりと病児保育の料金差
一時預かりは1日あたり平日が0歳児2,700円・1〜2歳児2,000円・3歳以上児1,200円、休日は0歳児3,600円・1〜2歳児2,700円・3歳以上児1,600円。昼食代等は別途で、緊急・一時的な預かりは2週間以内、断続的な利用は週3日以内という日数制限があり、事前の面談も必要です。病児・病後児保育は1日あたり所得税課税世帯2,500円(ひとり親1,200円)、所得税非課税世帯1,200円(同600円)で、生活保護世帯と市民税非課税世帯は無料。減免には証明書類の提出が要り、食事代等の実費は減免対象外です。
住宅支援は買う人と貸す人に分かれる
分譲住宅購入融資利子補給制度は、融資額の年0.5%(借入金利が上限)を年間最大10万円、最長5年で総額最大50万円補給します。対象は新婚世帯(夫婦とも40歳未満で婚姻届出から5年以内)か小学6年生以下のこどもがいる世帯で、初めての住宅取得であることが要件。住み替え・買い替えは対象外です。金利が0.5%未満なら補給額もその分下がります。もう一方の民間賃貸住宅改修促進事業は入居者ではなく住宅所有者向けで、改修工事費の3分の1、1戸あたり上限75万円。改修後10年以上子育て世帯・新婚世帯に貸し続ける義務があります。
就学援助は6月30日が分かれ目
就学援助の認定基準は市民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯などです。6月30日までに受理された申請は4月1日認定になりますが、それ以降は申請日からの認定で遡れません。なお給食費は既に無償のため、給食費分の援助は実質的に生じません。未熟児養育医療は出生時体重2,000g以下などの乳児が対象ですが、一度も退院していない入院に限られ、市民税額に応じた自己負担金があります。
大阪市をどう見るか
強いのは固定費です。給食費無償、0〜2歳保育料無償、塾代月1万円と、毎月出ていくお金を直接削る施策が並びます。こども医療費も所得制限なしで月2,500円が上限。中間層にはっきり効く構成です。弱いのは一時的な預け先で、一時預かりは0歳児が平日2,700円・休日3,600円と高く、病児保育も課税世帯は1日2,500円かかります。住宅支援も利子補給は最長5年で50万円と、他都市の一時金型と比べると即効性は薄い。大阪市は「毎月の出費を削るのは得意、単発の出費には弱い」市だと見るのが正確です。