赤ちゃんが生まれると、育児用品が毎月1回、合計10回、自己負担ゼロで自宅に届く街があります。兵庫県神戸市です。ただし生後7か月までに申し込まないと、10回全部はもらえません。
神戸市の子育て支援とは、妊娠の確認から産後ケア、通園、医療費まで、月齢と場面ごとに細かく制度を張り巡らせる面の支援です。現金給付よりも「その場の自己負担を数百円から数千円に抑える」設計が中心になっています。収録している神戸市の14制度から、金額と条件を整理します。
育児用品の定期便は全10回、申込期限が最大の落とし穴
こべっこウェルカム定期便は、初回のプレゼント1点に加えて、2回目から10回目まで毎月1回、育児用品を自宅に配達する制度です。自己負担はありません。対象は2024年4月1日以降に神戸市で生まれたこどもを、市内の住民票登録住所で養育している世帯です。
注意すべきは期限が二段構えになっていることです。申し込み自体の期限は生後1歳4か月に達する月の末日ですが、10回すべてを受け取るには生後7か月までに申し込む必要があります。出生届の流れで忘れたまま半年が過ぎると、受け取れる回数が減っていきます。
こども医療費は0〜2歳が完全無料、3歳以降は1日400円
こども医療費助成は、0歳から2歳までは保険診療の自己負担が0円です。3歳から高校3年生年代は外来1日最大400円を月2回までで、同じ月の3回目以降は0円になります。所得制限はありません。
助成されるのは健康保険適用分のみです。差額ベッド代、健康診断、予防接種、入院時の食事代、学校管理下のけがで災害共済給付の対象となるもの、先発医薬品の特別料金(選定療養費)は対象外になります。
ひとり親家庭等医療費助成は、外来1日最大400円を月2回まで、入院は1割負担で月額上限1,600円です。こちらは所得要件があり、前年(1月から6月の申請は前々年)の所得が基準額を超えると対象外になります。
妊婦健診は1回の妊娠で上限12万円、券の種類ごとに枠が違う
妊婦健康診査費用助成は1回の妊娠につき上限120,000円です。内訳は基本健診受診券14枚で各5,000円上限、血液検査等3種で計22,000円上限、超音波等検査12枚で計25,000円上限と分かれています。券の上限額を超えた分はその場で自己負担になるため、12万円という総額がそのまま使えるわけではありません。多胎妊娠の場合は追加の受診券が交付されます。
妊娠届を出すと、妊産婦タクシー利用券が5,000円分(500円券10枚)交付されます。使えるのは妊産婦本人が乗車する場合のみで、家族の同乗は可能です。有効期限は交付日から14か月後の月末、市外へ転出すると使えなくなります。
生まれた後の1か月児健診は、乳児1人につき1回上限6,000円の助成です。受診券が使えるのは神戸市と契約している医療機関・助産所に限られ、県外で受診した場合は事後申請による一部助成となり、申請期限があります。受診前に保護者記入欄の記入とバーコードシールの貼付が必要です。
産後ケアは訪問1回1,000円、宿泊は1日3,000円
産後ケアは三本立てです。訪問型は1回1,000円(120分以内)で上限5回、宿泊型は課税世帯で1日3,000円、通所型は1日2,000円で、それぞれ最大7日です。世帯区分で自己負担が変わり、非課税世帯は宿泊1,500円・通所1,000円、生活保護世帯は宿泊1,000円・通所800円になります。訪問型は非課税世帯・生活保護世帯が無料です。
共通の制約として、母子ともに医療行為が必要な場合は利用できません。多胎児は追加料金がかかります。訪問型は月曜から金曜の9時から17時の実施で、前日17時までに連絡のないキャンセルは1回800円かかります。
産前産後ホームヘルプサービスは1回(連続2時間以内)1,600円で、産前は最大10回、産後は最大20回。非課税世帯・生活保護受給者は証明書類の提示で自己負担なしになります。
保育に預けていなくても月10時間、1時間300円
神戸市こども誰でも通園制度は、生後6か月から3歳の誕生日の前々日までのこどもが、1時間300円で月10時間まで通園できる制度です。生活保護世帯は0円、市民税所得割額77,101円未満の世帯は1時間100円に減額されます。保育所・認定こども園・幼稚園などに在籍していないことが条件で、利用前に初回面談(原則こども同席)と認定申請が必要です。思い立った日には使えません。
一時保育は、非定型保育・緊急保育が日額2,400円(4時間以下1,200円)、リフレッシュ保育が日額3,600円(4時間以下1,800円)。利用日数は非定型保育が週平均3日まで、緊急保育が事由ごとに14日まで、リフレッシュ保育が月7日までと上限が設けられています。
病児保育は1日1人2,000円で、別に給食費など約500円と医療費がかかります。小学6年生までが対象で、利用は原則連続7日以内。医師の診察と医師連絡票が必要です。
非課税世帯なら、妊娠がわかった最初の受診も1万円まで戻る
初回産科受診料支援事業は、妊娠検査薬で陽性を確認した後の初回産科受診料の自己負担分を、1回の妊娠につき上限10,000円まで助成します。対象は初回受診時に神戸市民で、住民税非課税世帯または生活保護受給世帯に属する妊婦です。対象になるのは妊娠の確認に要した診察・検査などの保険適用外の費用に限られます。
神戸市をどう見るか
弱いのは、まとまった現金が出る制度がほとんどないことです。収録されている14制度はすべて子育て分野で、住宅取得や移住への補助は見当たりません。金額の記載がない制度もあり、妊娠高血圧症候群等療養援護費や未熟児養育医療給付のように、実際の助成額は市へ確認が必要なものも含まれます。
効くのは、使う場面が多い人ほど得をする構造です。0〜2歳の医療費無料、産後ケア3種、誰でも通園、一時保育、病児保育と、支援の網目が細かく、複数を組み合わせて使えます。逆に、制度を知らないまま期限を過ぎると静かに損をします。定期便の生後7か月、タクシー券の14か月、1か月児健診の県外申請期限。神戸市の支援は、カレンダーを意識できる人に手厚い設計になっています。