結婚して住まいを整えるだけで、最大60万円が出ます。ただし満額を受け取れるのは、夫婦ともに29歳以下の世帯だけです。
富士市の子育て支援とは、結婚・出産・住宅取得という「お金が大きく出ていく節目」に現金を寄せ、そこへ地元産の富士ヒノキを絡めた独特の設計です。収録している富士市の14制度から、金額と条件を整理します。
結婚新生活支援は最大60万円、ただし4段階
はぐくむFUJI富士市結婚新生活支援補助金は、1世帯あたりの上限が4段階に分かれます。夫婦ともに29歳以下なら60万円、令和8年1月1日以降に市外から転入した場合は50万円、以前から市内在住の夫婦は35万円、それ以外は20万円です。対象は令和8年1月1日以降に婚姻届またはパートナーシップ宣誓をし、少なくとも一方が婚姻時40歳未満の世帯。対象経費は令和7年4月1日以降に支払った住宅取得費、リフォーム費、家賃(駐車場代は除く)、引越費用です。落とし穴は三つ。補助後1年以上市内に居住する意思、ライフデザイン講座または妊娠・出産相談の受講証明、そして予算超過による早期終了の可能性です。
富士ヒノキを使うと住宅補助が最大50万円
富士地域材使用住宅取得費補助金は、木材の使用量で金額が決まります。新築・増築・建売住宅の購入は、4立方メートル以上6立方メートル未満で20万円、6以上16未満で30万円、16立方メートル以上で50万円。既存住宅のリフォームは1平方メートルにつき3,500円、上限14万円です。条件は厚く、住居部分の延べ床面積60平方メートル以上(リフォームは改修面積10平方メートル以上)、木材は富士市内か富士宮市内産の「しずおか優良木材認証製品」限定、施工は市内の建築士または大工、市町村税の完納も必要です。
同居・近居で30万円、条件は10年継続
富士市多世代同居・近居支援奨励金は対象経費の2分の1、上限30万円です。子育て中の親とその親、65歳以上の高齢者とその子または孫が新たに同居・近居を始める世帯が対象で、近居とは同一小学校区内または直線距離1km以内。最大の条件は10年以上の継続です。住宅は居住部分50平方メートル超が必要で、災害危険区域などは対象外。事業期間は令和9年3月31日までです。
こども医療費が無料になるのは令和8年10月から
こども医療費助成の対象は、0歳から18歳到達後最初の3月31日までの子どもです。ただし自己負担なしになるのは令和8年10月から。それまでは通院1回500円の自己負担が月4回分まで発生し、5回目以降が無料という形です。入院は食事代を含め無料、調剤は自己負担なし。健康保険に未加入の子ども、生活保護世帯、里親委託や施設入所中の子どもは対象外です。所得制限を超える世帯には、別に自己負担金の払戻し制度があります。
出産で10万円、ただし6か月住み続けること
出産特別お祝い金は子ども1人につき10万円です。国の「妊婦のための支援給付」とは別の市独自の給付になります。条件は出産後6か月以上継続して富士市に住民登録していることと、市内で子育てする意思があること。早期に転出すると受け取れません。
家事育児サポートが無料になるのは2区分だけ
はぐくむFUJI家事育児サポート事業は、令和8年4月以降の利用料が1時間あたり課税世帯500円、非課税世帯と多胎世帯は250円。無料になるのは生活保護世帯とひとり親非課税世帯に限られます。上限は単胎児100時間、多胎児200時間で、1回2時間以内・1日2回までの制限つき。対象は母子健康手帳交付後から、単胎児は2歳、多胎児は3歳の前日までの養育者です。
不妊・不育治療は年間上限100万円
不妊・不育治療費補助金は1年度あたり上限100万円。一般治療費は総額から給付金を除いた額の3分の2、不育症治療費は治療費の10分の7で、対象の子1人につき通算5年度までです。特定不妊治療は女性が43歳未満であることが必要です。注意すべきは、当該年度の治療費をその年度内に申請しないと対象外になる点です。
産後ケアと妊娠期のしくみ
富士市産後ケア事業は1歳の誕生日前日まで利用でき、宿泊型は最大6泊7日、日帰り型(1日)は最大7回、日帰り型(2時間)と訪問型は合わせて7回までです。利用料は世帯の課税状況によって変わるため、金額は市へ確認が必要です。お産応援タクシーは登録無料で運賃も通常どおりですが、迎え先・分娩予定の医療機関・出産予定日の事前登録がないと使えません。プレコンセプションケア健康診査は中学生から43歳未満が対象で、女性(性交渉経験あり)5,000円、同(なし)4,200円、男性2,000円、カウンセリングのみ無料。検査はセット提供で、申込後に医療機関への電話予約が必須です。
木のおもちゃが配られる健診
6か月児すくすく赤ちゃん講座では絵本1冊と富士ヒノキ製の木製玩具、5歳児健康診査では富士ヒノキ製立体パズルと生活習慣カードが贈られます。いずれも参加・受診が前提で、講座は会場と受付時間が指定されます。
留学は最大30万円、渡航前の計画書が必須
子ども・若者海外留学支援補助金は、一般世帯が費用の2分の1で上限20万円、市民税非課税世帯は4分の3で上限30万円。中学生から22歳まで、費用負担者が市内に1年以上居住していることが条件。主に英語を用いる国への留学で、滞在1週間以上1年未満、1日以上の語学研修を含むものに限られ、修学旅行は対象外です。計画書を提出する前に渡航すると補助対象になりません。就学援助制度は市立小中学校の保護者向けで、非課税や児童扶養手当の受給などが認定の目安です。
富士市をどう見るか
強いのは結婚と住宅です。60万円、50万円、30万円が同じ市に並び、条件を満たせる世帯には実額が大きく効きます。弱いのは日常の負担です。こども医療費の完全無料化は令和8年10月まで待たねばならず、家事育児サポートも課税世帯は1時間500円を払い続けます。住宅系は10年継続、市内産木材、市内施工と縛りが厚く、誰でも取れる補助ではありません。木製玩具や絵本の贈呈は温かいものの、家計への影響はほぼゼロです。富士市は「大きな節目に厚く、毎日には薄い」市だと見るのが正確でしょう。