1時間500円で使える家事・育児サポートが、1歳を過ぎた途端に使える時間が3分の1になる区があります。
江東区の子育て支援とは、東京23区共通の制度(子ども医療費無料、ベビーシッター年144時間助成)に、区独自の上乗せを重ねたものです。江東区の特徴は、区独自の現金・金券をほとんど持たない代わりに、サービスの単価を下げる方向に振っている点にあります。収録している江東区の12制度から、金額と条件を整理します。
こうとう家事・育児サポート事業=1時間500円
利用料は1時間あたり500円(1回2時間から利用可)。単価は23区でも安い部類です。
ただし利用可能時間に段差があります。妊娠期・0歳児は子ども1人につき90時間。ところが1〜2歳児になると30時間に減ります。3分の1です。
ここには例外があり、下の子がいる場合は1〜2歳児でも90時間に戻ります。つまり「第1子が1歳になり、まだ2人目がいない」という期間だけ、使える時間が大きく絞られる設計です。
対象は区に住民登録があり、妊娠中または3歳未満の子どもを養育している家庭。0歳のうちに90時間を計画的に使い切るか、1歳以降の30時間を何に充てるかを先に決めておくと無駄がありません。
認可外保育施設の補助は他区の半分
認可外保育施設等保護者負担軽減補助金は、3〜5歳児クラスが月額上限37,000円(年444,000円)、0〜2歳児クラスが月額上限42,000円(年504,000円)です。
ここは23区の中でも低い水準です。多くの区は0〜2歳児クラスで月額上限80,000円(年960,000円)を設定しています。江東区の42,000円は、その半分強にあたります。3年間で見ると130万円以上の差になります。
一方で、この補助の対象範囲は広く取られています。認証保育所・家庭福祉員・区の定期利用保育・その他の認可外保育施設に加えて、ベビーシッター・病児保育・一時預かり・ファミリーサポートなども含まれます。1つの枠でまとめて使える設計なので、複数のサービスを組み合わせる世帯には使いやすい形です。
認可外に月額で預ける前提なら上限額が効き、単発のサービスを組み合わせる前提なら対象の広さが効きます。どちらの使い方をするかで評価が変わります。
宿泊型産後ケアは5泊6日で29,400円
母子1組につき最大5泊6日まで。自己負担は1泊2日9,800円、5泊6日29,400円(令和8年4月1日から)。多胎児は1人1日あたり2,400円加算されます。対象は住民登録があり、産後4か月未満の母親とその赤ちゃんです。
1泊あたりに直すと約5,000円で、23区の中では中位の水準です。
多胎児家庭は年24,000円分のタクシー券
1世帯あたり年度に1回、24,000円分のタクシー券を支給。令和8年度は0〜2歳の多胎児家庭が対象です。
墨田区・豊島区・北区・葛飾区・江戸川区も同額(24,000円分×3回)を出しているので、この部分は23区でほぼ横並びです。
病児・病後児保育は1日2,000円、ただし条件あり
対象児童1人につき1日2,000円(利用時に施設で支払い)。
注意すべきは対象条件です。「認可保育園などに月極めで入園している満1歳から6歳の子ども」とあり、一部施設は生後7か月から。認可保育園に入っていない世帯は対象外になります。品川区や中野区が在園を条件にしていないのと比べると、入口が狭い設計です。
こどもショートステイ
1泊2日6,000円、以降1日ごとに3,000円。送迎手数料は片道1回500円です。対象は施設型が満2歳から満12歳、在宅型が満1歳から満15歳。在宅型が15歳まで対象というのは23区でも広い方です。
里帰り出産の健診費
妊婦健診1回目は上限10,980円、2〜14回目は各上限5,140円、妊婦超音波検査は5,300円、妊婦子宮頸がん検診は3,400円。対象は住民登録がある妊婦で、助産所や都外の医療機関など都内委託医療機関以外で健診を受けた方です。
助産所での受診も対象に含まれている点は、千代田区(助産所での1回目健診は対象外)などと比べると広い設計です。
私立幼稚園と給食費
入園料補助金は園児1人1回につき上限70,000円(実納入額が下回る場合はその額)。預かり保育料補助金は月12,300円(満3歳児は17,700円)または日額490円×利用日数のいずれか低い額です。
区立の小学校・中学校・義務教育学校に在籍する児童・生徒の給食費は全額無償です。
江東区をどう見るか
江東区には出産祝金・バースデーサポート・乳児手当といった区独自の現金給付がありません。区独自の金券も多胎児家庭のタクシー券だけです。0〜2歳で受け取れる額で比べると、23区の中では下位になります。
効いてくるのは、家事・育児サポートの1時間500円と、認可外補助の対象範囲の広さです。逆に、認可外保育施設に月額で預ける前提なら、上限42,000円という設定が他区より大きく不利に働きます。
認可に入れる見込みがあるかどうかで、江東区の評価は分かれます。