子育て世帯が区内で住み替えるだけで、最大70万円相当が戻ってくる区があります。地方移住の話ではなく、東京23区の話です。
世田谷区の支援制度とは、東京23区共通の制度(子ども医療費無料、ベビーシッター年144時間助成)に、区独自の上乗せを重ねたものです。世田谷区の特徴は、子育て支援よりも「区内に住み続けてもらうための住宅支援」に大きな金額を置いている点にあります。収録している世田谷区の13制度から、金額と条件を整理します。
「ずっと、世田谷。」定住応援事業=現金30万円+10万ポイント
1世帯につき、定住応援金として現金30万円とせたがやPay10万ポイント。多世代近居・同居応援事業と併用すると最大70万円相当になります。
対象は、6歳未満の子を養育する、または母子健康手帳の交付を受けている妊娠中の子育て世帯と、転居時に夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯です。
住み替え応援事業=せたがやPay10万ポイント
1世帯につき住み替え応援金としてせたがやPay10万ポイント。多世代近居・同居応援事業との併用で最大40万円相当になります。
対象は、転居日時点で6歳未満の子を養育する、または母子健康手帳の交付を受けている妊娠中の子育て世帯と、夫婦のいずれかが39歳以下の夫婦のみ世帯。
多世代近居・同居応援事業=最大30万円
1世帯につき最大30万円。仲介手数料、不動産登記費用、礼金、権利金、引越し費用等が対象です。
対象は、18歳未満の子がいる子育て世帯(母子健康手帳の交付を受けた妊娠中を含む)とその親世帯で、区内で新たに近居・同居を始める世帯。
この3本は組み合わせて使う設計になっていて、定住+多世代近居で最大70万円相当、住み替え+多世代近居で最大40万円相当という形になります。地方移住の移住支援金(世帯100万円)ほどではありませんが、23区内の住宅支援としては大きい金額です。
ただし受け取り方に注意が必要です。定住応援金は現金30万円とせたがやPay10万ポイントの組み合わせで、住み替え応援金はポイントのみ。せたがやPayは区内の加盟店でしか使えないので、区外への転出を考えているなら使い切りの時期を逆算してください。
出産費助成は5万円、1年要件なし
世田谷区出産費助成制度は、出産児1人につき5万円。対象は出産日時点で出産児が区内に住所を有する方(流産・死産の場合は母親が区内在住であること)です。
千代田区・港区(上限31万円)や足立区(上限10万円)は1年以上の居住が条件ですが、世田谷区の5万円に居住年数の要件はありません。出産を機に転入してきた世帯でも、出産日に区民であれば対象です。
一時預かり「ほっとステイ」は無料
児童1人あたりの利用料は保護者負担なし。ただし登録料・キャンセル料・時間変更に伴う料金は施設の規定により発生する場合があります。対象は区内在住の生後4か月から未就学の子どもとその保護者です。
23区の一時保育は1時間500円〜650円が相場なので、無料で使えるのは大きい違いです。
産後ケアはクーポンで実質負担が下がる
利用者負担はショートステイ1泊2日9,000円・以降1日4,500円、デイケア1日3,000円、アウトリーチ1回2,000円(多胎児2人目以降はそれぞれ1日500円・250円・1回200円の加算)。
これに対して産後ケア事業クーポンが産婦1人あたり5枚交付され、1枚につき利用料が原則2,500円減額されます。5枚で12,500円分。対象は産後ケア事業に利用登録した産婦のうち、住民税の所得割・均等割とも課税されている世帯の方です。非課税世帯はもともと負担が軽いため、クーポンは課税世帯向けの調整として置かれています。
認証保育所は「認定の有無」で月2.8万円変わる
認証保育所の保育料補助は、0〜2歳児クラスで月額上限80,000円(保育の必要性の認定あり)/52,000円(認定なし)、3〜5歳児クラスで月額上限77,000円(認定あり)/40,000円(認定なし)。年額換算で最大960,000円です。
認定の有無で0〜2歳は月28,000円、年336,000円の差になります。対象は東京都認証保育所と月48時間以上の月極利用契約を結んで利用している児童の保護者なので、契約時間と認定申請の両方を確認してください。
私立幼稚園の入園料補助が23区最大級
入園料補助金は入園時1回限り年額120,000円以内。23区では10万円が上限という区が多いので、世田谷区の12万円は最大級です。
ほかに保育料補助金が月額上限33,000円(年額換算396,000円)、預かり保育利用料補助金が月額上限11,300円、副食費補助金が月額上限5,100円、その他納付金補助金が月額上限3,000円。対象は新制度未移行の私立幼稚園等に在園する満3歳〜5歳児の保護者です。
給食費は無償
区立小・中学校に在籍する児童・生徒の給食費は全額無償で、保護者負担はありません。
世田谷区をどう見るか
世田谷区には、江戸川区の乳児養育手当や葛飾区の応援券のような「子どもの成長に沿って配られる金券」がありません。出産費助成の5万円が、子育て側の区独自の現金給付としては最大です。
予算が置かれているのは住宅側です。定住応援で最大70万円相当、多世代近居で最大30万円。区内で家を探している子育て世帯・若者夫婦世帯にとっては、23区でも有数の水準になります。
逆に言えば、すでに区内に定住していて住み替える予定がない世帯には、この最大の制度が効きません。自分が住宅支援の対象に入るかどうかで、世田谷区の評価は大きく変わります。