子育て世帯の家賃を、1年目は月88,000円まで出してくれる区があります。年額にすると105万円です。
千代田区の支援制度とは、東京23区共通の制度(子ども医療費無料)に、区独自の上乗せを重ねたものです。千代田区の特徴は、0〜2歳の金券配布をほとんど行わない代わりに、住宅費と中高生世代にまとまった金額を置いている点にあります。収録している千代田区の12制度から、金額と条件を整理します。
次世代育成住宅助成(区内転居助成)
1世帯につき家賃助成が1年目最高月88,000円(年額最高1,056,000円)。2年目以降は段階的に減額されます。ほかに転居費用として初回のみ一律10万円が出ます。
対象は区内に1年以上居住する子育て世帯で、区内で住み替える世帯です。
23区の子育て世帯向け家賃助成は、目黒区が月20,000円(最長3年)、長野市や南房総市のような地方自治体でも月20,000円前後。千代田区の月88,000円は桁が違います。都心の家賃水準に合わせた設定です。
次世代育成住宅助成(親元近居助成)
金額は区内転居助成と同じで、1年目最高月88,000円(年額最高1,056,000円)、2年目以降は段階的に減額。転居費用として初回のみ一律10万円。
対象は区内に5年以上居住する親がいる新婚世帯または子育て世帯で、区外から区内へ、または区内で住み替える世帯です。
こちらは区外からの転入も対象になります。ただし「区内に5年以上居住する親がいること」が条件なので、実家が千代田区にある人向けの制度です。
居住安定支援家賃助成
1世帯につき一律月額57,000円(年額684,000円)を最長5年間。ほかに礼金・仲介手数料(家賃3か月分まで)、契約更新料(家賃1か月分まで)、火災保険料(年1万円まで)が対象です。
対象は65歳以上の高齢者世帯、障害者世帯、ひとり親世帯のいずれかに該当する世帯。5年フルで受けると342万円になります。ひとり親世帯にとっては、23区でも最大級の支援です。
出産費用助成=最大31万円、ただし1年要件
1度の出産につき最大31万円(双子以上でも同額)。出産育児一時金を上回る自己負担分が対象です。
対象は令和7年4月1日以降に出産し、出産日前から区内に住所があり、申請時点で1年以上区内に住所がある方。港区と並ぶ23区最高水準ですが、1年以上の居住が条件です。
港区が「出産児1人につき上限31万円」で双子なら1人29万円×2=58万円になるのに対し、千代田区は「1度の出産につき最大31万円」で双子以上でも同額です。多胎の場合は港区のほうが大きくなります。
中高生世代応援手当=月15,000円
児童1人につき月額15,000円(年額180,000円)。対象は12歳に達する日後の最初の4月1日から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童を養育している方です。
中学1年生から高校3年生までの6年間フルで受け取ると、合計108万円になります。
23区の子育て支援は0〜2歳に集中しがちで、中高生世代に毎月の手当を出している区はほとんどありません。足立区の高校生世代応援支援金が年額5万円なので、千代田区の年18万円は3倍以上です。
保育料は第2子以降が無料
区内の認可保育園・こども園等を利用する世帯の第2子以降は、基本保育料が無料です(3〜5歳児クラスは国の無償化により全員無料)。
練馬区は第1子から0〜2歳を無料にしていますが、千代田区は第2子以降です。第1子だけの世帯には効きません。
育児支援訪問事業は所得で3段階
1時間あたり、生活保護・住民税非課税世帯は無料、住民税均等割のみ課税世帯は500円、その他世帯は1,000円。
対象は保護者と対象児童が区に住民票があり居住していること。出産前後で支援者がいない妊産婦(妊娠中〜生後1歳未満、多胎は2歳未満)、または保護者の事情で育児が一時的に困難な家庭です。
産後ケア事業
利用者負担は施設ごとに異なり、宿泊型は1日6,600円〜7,200円、通所型は1回5,400円程度(2026年6月現在の主要施設の例)。対象は利用日時点で住民票の登録がある母親とその子どもで、流産・死産された方も含みます。
里帰り出産の健診費
妊婦1人につき、1回目の健診11,280円、2〜14回目は1回5,280円、超音波検査1回5,300円、子宮頸がん検診3,400円を上限に助成(令和6年4月1日〜令和7年3月31日受診分)。
注意点があります。1回目の健診・超音波検査・子宮頸がん検診は医療機関での受診のみが助成対象で、助産所での受診は対象外です。江東区が助産所も対象に含めているのと違うので、里帰り先で助産所を使う予定なら先に確認してください。
申請期限は出産後1年以内で、電子申請で提出します。
教育ローンの利子補給
指定金融機関のあっせん融資は支払利子の全額(最大8回申請可)、それ以外の教育ローンは子ども1人につき年10万円まで(自己負担6,000円、最大7回申請可)。対象は区内に1年以上居住する、子どもの保護者(3親等以内の親族を含む)です。
千代田区をどう見るか
千代田区には、出産祝金・バースデーサポート・子育て応援券といった0〜2歳向けの金券がありません。江戸川区や葛飾区のような「生まれてから配られる金券」の合計額で比べると、23区で最も少ない部類です。
予算が置かれているのは住宅と中高生世代です。家賃助成が1年目月88,000円、中高生世代応援手当が月15,000円(6年で108万円)、ひとり親世帯の居住安定支援が月57,000円×5年。
つまり千代田区は「長く住み続ける世帯」に対して大きく出す設計です。0〜2歳だけを切り取って比較すると評価を見誤ります。