修学旅行代も、移動教室の交通費も、テストやドリル代も区が出す。そんな区が令和8年度から生まれました。
中野区の子育て支援とは、東京23区共通の制度(子ども医療費無料、ベビーシッター年144時間助成)に、区独自の上乗せを重ねたものです。中野区の特徴は、就学後の「学校でかかるお金」をまとめて肩代わりする制度を持っている点にあります。収録している中野区の13制度から、金額と条件を整理します。
区立学校の教育に関する費用負担補助=令和8年度から
区立小中学校に通う全児童生徒を対象に、教材費(テスト・ドリル・資料集など)、移動教室の交通費・入場料、修学旅行の食事代・活動費・保険料、卒業旅行の旅行会社費用などを、学年ごとの上限額まで補助します。
所得制限のある就学援助とは別で、**全児童生徒が対象**です。給食費無償化を実施している区は23区で当たり前になりましたが、教材費と修学旅行費まで踏み込んでいる区はほとんどありません。
ただし補助されるのは学校が一括で購入・契約する費用に限られます。筆記用具・制服・楽器・卒業アルバム代・部活動費などの個人的な購入物、自由行動中の食事代や入場料は保護者負担のままです。
給食費は無償
区立小中学校の全児童生徒について、保護者負担分の給食費を区が補助します。令和8年度の1食単価は小学校低学年350円・中学年380円・高学年410円、中学校480円。
区外校・私立校に通う場合の扱いは学務課への確認が必要です。杉並区(年71,500〜82,500円)や新宿区(中学生年87,000円)のように、私立に通う子へ給食費相当を現金で出す制度は中野区にはありません。
認証保育所の補助は月7万円
認証保育所などの保護者補助金は、施設の月額基本保育料と70,000円のいずれか低い額(月額上限70,000円・年額840,000円)。
ここは23区の中でやや低い水準です。多くの区は0〜2歳児クラスで月額上限80,000円を設定しています。差は月1万円、年12万円です。
さらに注意点が2つあります。補助対象は月額の基本保育料のみで、入園料や行事費は対象外。そして在園後の請求(償還)方式なので、いったん保護者が保育料を全額支払う必要があります。立て替えが発生する前提で家計を組んでください。
なお2026年4月からは認証保育所以外の認可外保育施設の扱いが変わるため、申請前に区の最新案内を確認してください。
ベビーシッターは1時間150円、ただし復職が条件
事業者連携型のベビーシッター利用支援は、利用者負担が1時間150円。標準時間認定なら1日11時間・月220時間まで、短時間認定なら1日8時間・月160時間までです。
渋谷区・板橋区・足立区と同じ仕組みですが、中野区も**育児休業中は利用できません**。復職していることが条件で、他の保育料補助制度との併用もできません。アカウント発行依頼は利用開始の10日前までに行う必要があります。
一時預かりのベビーシッター利用支援は、日中(7時〜22時)1時間上限2,500円・夜間3,500円、年144時間まで(多胎児は288時間)。認可保育施設等に在籍している児童は対象外です。四半期ごとの申請期限を過ぎた利用分は助成されないので、期限管理が要ります。
産後ケアは15回、多胎児なら26回
ショートステイ(宿泊)・デイケア・アウトリーチの3種類あわせて15回まで。多胎児を養育する場合は26回まで拡大されます(令和8年4月1日改定)。うち宿泊のショートステイは7回までです。
回数の上限15回は23区でも多い部類です(杉並区が通算10回、渋谷区が宿泊5泊+デイ7回+訪問3回)。多胎児の26回はさらに突出しています。
利用前に、すこやか福祉センターでの「かんがるー面接」を受けてケアプランを作成する必要があります。この面接を受けていないと使えないので、産前に済ませておいてください。
産前産後家事・育児支援は1時間800円
対象期間を通じて40時間まで。3歳未満の子が複数いる世帯は80時間まで拡大されます。自己負担は1時間800円で、住民税非課税世帯および生活保護受給世帯は無料です。
利用できるのは妊娠届出後から子が1歳の誕生日前日まで。多くの事業者が1回2時間以上の予約を条件としています。
40時間という枠は23区では短い部類です(台東区288時間、港区304時間、渋谷区60〜240時間)。
病児・病後児保育は1日2,000円、定員が少ない
1人1日につき課税世帯2,000円、所得税非課税世帯1,000円、住民税非課税世帯は無料(ひとり親世帯は半額)。
金額よりも枠のほうが問題です。定員は病児保育が1日3人、病後児保育が2〜6人と少なく、月曜から金曜のみで祝日・年末年始は休み。利用には医師の許可(証明書)が必要で、症状が改善した場合は新たな医師証明が要ります。連続7日が利用上限です。
ほかに預けられる人がいる場合は対象外という条件もあるので、確実な受け皿としては計算しづらい制度です。
ファミリー・サポートは病児対応もある
一般活動は平日1時間800円・土日祝1時間1,000円。特別活動(病児対応を含む)は1時間1,200円で、年会費3,000円(減免世帯は1,500円)が必要です。
特別活動の対象は生後6か月から小学6年生まで、実施時間は平日8時から18時・土曜8時から12時に限られます。病児保育の定員が少ないぶん、こちらを併用する前提で会員登録しておくと選択肢が増えます。
私立幼稚園の保育料は年48万円
入園料補助は1回につき上限60,000円。保育料補助は私学助成園で月額上限37,700円(2026年10月以降は40,000円、年額最大480,000円)、預かり保育料は月額11,300〜12,300円、副食費は月額上限5,100円です。
月額40,000円は品川区と並ぶ23区の高水準です。ただし上限額は園の種類(私学助成園か保育料型施設か)によって変わるので、入園先が決まった段階で確認してください。
中野区をどう見るか
中野区には出産祝金・バースデーサポート・乳児手当といった区独自の現金給付がありません。0〜2歳で受け取れる額で比べると23区の下位で、産前産後の支援時間も40時間と短めです。認証保育所の補助も月7万円と、他区より1万円低くなっています。
効いてくるのは就学後です。令和8年度から始まった教育費用負担補助は、給食費に加えて教材費・移動教室・修学旅行まで区が持つ制度で、所得制限がありません。小中9年間で見れば、0〜2歳の金券数万円より大きい金額になります。
0歳から預けて働く前提なら他区のほうが有利、区立の小中学校に通わせる前提なら中野区が効く。時期で評価が分かれる区です。